事件(旦那の不貞)が発覚してすぐ。
私は、市の法律相談を予約していた。
しかし、空いていたのは1か月後。
仕方なく予約だけ取った。
その間、各方面へ積極的に動いた結果
すでに離婚の方針は固まっていた。
現状、無職になり、人生に絶望していた私。
身体も心も鉛のように重く、動くのもやっと。
キャンセルしようかと思ったが
1か月待ったこともあり、折角弁護士と話せるのだからと
重い腰をあげた。
受付を済ませると、時間になるのを待った。
何を相談していいのか。
頭が全く回っていないことに気づく。
それでも、弁護士さんに失礼なので
何とか質問を捻りだす。
・公正所証書作成後、離婚届け提出までの猶予期間
・仮登記の有効性
・仮登記中に旦那が亡くなった場合の住宅ローン免責について
(住宅ローンの返済に義務は無くなるとネットには記載してあったが)
時間になったので、部屋に入る。
そこには、私よりやや年上(50代前半~半ば)位に見える
女性弁護士が座っていた。
私は、事情を説明し始めた。
「主人の不貞が発覚して、離婚を考えています。
すでに離婚協議書は作成しているのですが・・・」
作成済みの協議書を手渡し、目を通してもらう。
相談時間は30分なので、その間も話し続ける。
「1番のネックは、住宅ローンです。間の悪い事に
転職が決まっていて、5/31付けで退職。6/1に転職しました。
しかも、転職先を本日付で退職してしまって・・・」
「えっっ!!退職したんですか?」
黙って協議書に目を通していた弁護士さんが、顔をあげた。
「う・・・ここにいたら、死んでしまうかもと思って。
そんな事になる位なら、1日も早く辞めた方がいいと。」
本当にそうだったのだ。私に手に負える場所では無かった。
ポジションに目がくらんだ事は否めないが
これを背負うのは、自殺行為でしかないと判断した。
何となく責めらているような気になり
(そんな事は無いと思うが)
ばつが悪い。
私は、すかさず質問を変えた。
「ですので、住宅ローンの審査は当面通らないし
この先通るかも分からないので、仮登記を考えています。」
「今は、どうやって生計を立てているんですか?」
「今は、別居中です。家計の管理は私がしていて、主人に幾らか
お金を振り込んでいます」
「だったら・・・まずは仕事見つけてからの方が絶対にいいですよ!
審査が通ってから、離婚すればいい。
婚姻費用を貰えているというか、生活費を握っているんだし。」
「やっぱりそうですかね・・・」
「別居もしてるから、ストレスも無い。
その間に、せっせと住宅ローンも減らしていけばいいわけだから。
あと、仮登記もね、しない方がいいですよ。」
「え?そうなんですか。」
「ご主人が再婚したら、相続の関係で面倒な事になる。
しかも、手続きも面倒。仮登記つけたり、外したり。
別居してお金もらえてるなら、その方が全然いい」
「公正証書の相談予約を来週入れているのですが・・」
「それも、一旦キャンセルで。
給与の差し押さえは、公正証書作成しないとダメだけれど
協議書にサインを貰ってるわけだから。
万が一調停を起こす事になっても、協議書で合意してますと言える。
仕事が決まって、生活の目途が立つまで、離婚してはダメ」
その後、以下用意していた質問をする。
・旦那が亡くなった時の住宅ローン支払いについて
→団信に入っていれば、免責
・公正証書作成後の、離婚届け提出の猶予期間
→速やかにとなっている以上、出来る限り早く届けを出すこと
話しているうちに、信頼できる弁護士さんだと感じた。
「実は・・・弁護士の先生に、人生相談みたいな話をするのも
どうかと思いますが。昨年から会社でパワハラにあって
それで仕事を失ったんです。
その後、母が亡くなり、娘の病気が発覚して。
その後すぐ主人の不貞が発覚しました。
すぐに色々行動して、・・・結局転職も失敗。
疲れてしまったんだと思います。
頭がまわっていなくて」
つい余計な身の上話をしてしまった。
「短期間で、これだけのもの(協議書)。相当パワー使ったと思いますよ。
しかも、『負』のパワーだから、ダメージも大きいはずです。」
自分の苦しさに共感してもらえたことが
心に染みる。
「確かにおっしゃる通りですね・・・仕事が決まってから動きます
色々と有難うございました。こちらで相談して本当に良かったです。」
お礼を述べ、部屋を出た。
正直、公正証書作成だけ進めてしまおうと思っていたのだが
弁護士さんのアドバイス通り、一旦キャンセルすることにした。
何よりも、生活の基盤である仕事が安定しない事には
どうにもならない。
やはり、予定通りには行かなかった。
人生、そんなものだ。
早めに軌道修正をしなければ。