協議書を受け取った。

安堵感は全く無かった。

 

私は気になっていた事を聞く。

 

「そういえば、スマホのアプリ消してたけど

アカウント削除しないとデータは消えないじゃん」

 

「ああ。そういえばそうだね」

 

ITリテラシーの高い奴が、そんな事に気づかない訳がない。

 

スマホを開いて、アプリを再インストールさせる。

 

案の定、データは残されていた。

 

「消して。」

 

「わざわざ、他のアプリまで入れてバックアップとってんだ」

 

「え、勝手にそうなってるから・・・」

 

馬鹿にしてんのか。

 

「んなわけないでしょ。わざわざアプリ入れてんだからさ」

 

写真を選択して、ごみ箱に入れていく。

が、なぜか削除できない。

何度トライしても。

 

苛立ち、スマホを奪い取る。

 

改めて中身を、奴の前で見る。

「気持ち悪りぃ・・・まじ、ありえねぇんだけど。

・・・これを見つけた時の私の気持ちがわかるか?

お前も馬鹿だし、女も馬鹿だな。やべぇよ。」

 

一体どんな気持ちなのだろう。

目の前で、自身の痴態をさらされている。

想像もつかなかった。

 

何とか削除できたかと思ったが

「90日間は保存されており、いつでも復元できます」

との表示が。

 

「そうやって、90日の間に復元すんでしょ。

勿体ないもんね。

分かってるから、そういう事するって。」

 

「しないよ・・・」

 

完全に削除する方法を検索し始める。

 

エビデンス収集の際は、気が動転していたのか

気付かなかったのだが、隠しフォルダのようなものがあった。

消去する際に、未確認の写真が一瞬写る。

 

そこには、ハメ撮りやら、他のエロ写真とは違う

ごく普通の。

まるで彼女でも撮るような写真が格納されていた。

 

一瞬、削除を止めようか、未確認写真を見たい

という衝動にかられたが、やめた。

 

もういい・・・。

しんどい。