たんぽぽ団地 たんぽぽ団地
1,728円
Amazon

 

これは1年チョットの間新聞連載されていて、1回目読んだら面白くて毎週楽しみに読んでいました(手元に残してはいないのだけど)。単行本になっていたのは知ってましたが「一応読んだからいっかな」と最初はスルーしていました。ところが「大幅に加筆修正されている」と知って驚いて、慌てて予約を入れて借りましたよ。

正直、連載のラストはイマイチだったんですよ。リアルな話だと思っていたのに、あれ?何?いつからファンタジーになったの?って感じで。果たして、どこをどう加筆修正したのか、楽しみです♪

 

最近スランプ気味の監督は1970年代子役として活動していた。1973年に半年間主役のワタルくんを務めたテレビドラマ「たんぽぽ団地の秘密」のロケ地だったつぐみ台三丁目団地が取り壊される予定だと知った監督は、たんぽぽ団地の映画を撮ることに。

杏奈の祖父は誰も居なくなったつぐみ台三丁目団地の5号棟に1人で住んでいる。父は祖父を引き取るか家の近くに呼び寄せるか話し合うため、GWに娘の杏奈を連れて帰郷していた。途中で父の同級生でもあるチコ一家と出会い「たんぽぽ団地の秘密」でエキストラもしていたナルチョ主催の「たんぽぽプロジェクト」のBBQに参加する杏奈。

 

…てところで新聞と違う部分が多々出てきました。杏奈の祖父は教師だったはずなのに、早くに亡くなった祖母が教師で祖父は鉄工所勤務になってました。更にBBQで間違って酒を飲んだ杏奈が意識不明になったときに、団地内で撮影してる監督の姿を見ます。…あれ? こんなシーンは無かったなぁ。

ということで、ここから連載とはかなり違ってきました。うう〜ん…連載読んでなければそれでいいけど、読んでる身としては、うう〜ん、ですね。

まず杏奈の祖父の出番が減って祖母の出番が増えた感じですかね。ワタルくんの勉強みていたのは祖父で、祖母がフォローをしていたと記憶していたんですけど。監督も団地に来ていたし、カノンも主役になったのに事務所の都合で降ろされそうになったりとか…。あ、そうそう! 撮影に疲れていたワタル君のために「ワタルくん誘拐事件」を起こしたのは祖母でした。それを知ってカノンが誘拐されたことにしようとしてましたよね。

淳平がハヤトの関係も違ってた。確かなんかのゲームでカノンが司会してハヤトと子分と淳平と杏奈がそのゲームに挑戦して…という下りだったのが、カノンを馬鹿にするハヤトに「謝れ!」って淳平が飛びかかってました。試食品をカノンが配るっていうのもなぁ〜そんな仕事子どもにさせるなよ…とか思いました。あ、LINEも使ってたな。結果ハヤトが淳平に「おまえの態度がむかつくんだよ」って言って一応問題解決したのかなぁ?ってところでしょうか。ハヤトのマウンティングの仕方には腹が立ちますね。こういう男はそのうちガツンとやられて挫折するんじゃないかと思う(というかそうなって欲しいと期待したい)。

連載では最後にいきなり「時空の風」が吹いて6年生のワタルくんが登場して「???」でしたが、単行本では早くから「時空の風」が吹いていました。

 

6年生のワタルくんは「たんぽぽ団地の続編」について考えて、杏奈の祖母がガリ版で刷って残してました。それは40年後のたんぽぽ団地。まさにこの物語で描かれていたように杏奈や淳平、カノン、ハヤトなどが出てきます。

41年前ワタルくんが好きだったのに何も言えなかったナルチョが子どものワタルくんと会話したり、卒業式のあとに階段坂を自転車で下れなかったチコがリトライしたり、時空の風は色々なことを起こしていきました。

そしてこの話が「たんぽぽ団地」の映画になるのかな? って感じですね。カノンが主役じゃないようなので、まさか本当に杏奈が主役(と言うか狂言回し)になっちゃうのかな?
この映画、ヒット作になると良いですねぇ。

 

本当に大幅加筆修正で驚きでした。全く違う本読んでるみたい。

連載と単行本、どちらが良いかと言われたら…連載も捨てがたい内容だったので、なんとも言えません。新聞連載小説ってこんなに変わるものなんですかね。