マスカレード・ホテル (集英社文庫)/集英社
¥821
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2冊も図書館の棚にあったので借りました。ガリレオか加賀恭一郎のシリーズ物かと思って読んでいたのですが、別の話でした。


連続殺人事件が起き、次に殺人事件が起きるのがホテル・コルテシア東京だと分かり、捜査員は客だけで無くホテルスタッフとしてホテルに潜り込むことになった。警視庁の捜査一課・新田はフロントで働くことになる。
目つきが悪くて態度のでかい新田にホテルマンの山岸尚子が厳しく指導していきます。様々なお客様が訪れ、それを上手くさばいていく尚子を見て、段々と新田もホテルマンらしくなっていきましたね。


なんで連続殺人事件と分かったかというと、小数点つきの数字が羅列された紙が置かれていたから。「あー、これは緯度と経度だな」と思ったら当たり。とはいえ簡単な計算をしないと次の殺害現場を示さないそうですがそこまでは気づきませんでした。

殺害予告の日に結婚式を挙げる花嫁にストーカーが居て、そのストーカーが花嫁を殺害するのでは?! てことで捜査員は花嫁のガードをメインで動いてました。でも実際には場所しか分かってないので、犯人も分からなければ被害者の見当もついてなくて、こりゃ警察も大変。

尚子はホテルマンとしてのプライドだかなんだか知らないけど、事件について新田に「正しい情報をくれ」って迫ったりするんですよ。新田もホイホイ教えたりしてさ。気持ち分かるんだけど、余計なことしてるよねーうざいよねーて思っちゃいました。


どうやら連続殺人ではないかも?て話になり、最初の殺人事件に関わっていた新田は捜査もできずホテルマンとしてしか動けなくてモヤモヤしてます。そこに現れた所轄の有能な刑事・能勢と協力して、アリバイがあり犯人ではないと判断した人物のアリバイ崩しをしたり、モヤモヤしつつも事件解決に向けて頑張ります。貪欲。緯度と経度を残したのは真犯人が殺人犯に指示していたからだとつきとめ、あとは真犯人を捕まえるだけになりました。

そして真犯人ですが、盲目の夫のために下見に来ていた老婦人・片桐(本名長倉)でしたよ。しかも実は若い女性で老女に変装していたんですって。そして真犯人よりもビックリなのが狙われていた人物が尚子だということでした! 読み進めて片桐が犯人だと分かりましたが、尚子は気づかないんですよ。ベッドに座って目を閉じてくれとか言われて従っちゃって殺されそうになりましたよ。ハラハラドキドキの展開です。新田が片桐の正体を突き止めて尚子を探し出し、助け出してくれました。良かった!


なぜ尚子を狙ったのかっていう理由にも驚きました。長倉とつきあっていた松岡が妊娠した長倉を捨てて上京してコルテシア東京に泊まってたんですって。フロントに居た尚子は長倉をストーカーだと判断して、部屋番号も教えず部屋がないと宿泊も断ったんですって。ホテルの前で夜を明かした長倉は流産しちゃったんですって。それで尚子を狙ったそうです。

…うーん。確かに流産したのは残念だったけど、そのホテルじゃ無くても違うホテルに泊まって朝早くに行って待つこともできたと思うんだけどなぁ。

長倉は松岡を既に殺害していて、続けて尚子も殺したら自分にたどり着くと考えたんですって。そこでネットで共犯者を集めて、同一犯による連続殺人に見せかけたんですって。頭が良すぎて考えすぎちゃったんだねって言われてましたけど、ほんとにねぇ。


最後は新田と尚子に恋が芽生えるのか?みたいな感じでしたが、どうなんだろう。あんまり興味ないかな。


犯人とかアリバイとかよりも、その間に挟まっているホテルを訪れる様々な客の様子が興味深いです。クレーマーの手法とか、変わった客とか、横柄な客とかいて、こら大変だわー私には無理だわーなんて思いながら読んでました。