静寂 | Talking with Angels 天使像と石棺仏と古典文献: 写真家、作家 岩谷薫

静寂

ニース天使 マントンの墓地にアマツバメやカモメが沢山いるのに対し、ニースの墓地は、海に近いにもかかわらず、あまり賑やかな小動物はいません。静寂です。
 照りつける太陽、無風、無音…キーンと耳鳴りがしそうなほどの無音。
 恐ろしいほどの白昼の静寂。
 南フランスの版画家、長谷川潔氏は『白昼に神を視る』と言いました。
 そんな中でこの天使に出会いました。

 ジェイムズ・ジョイスは『ユリシーズ』の中で
●「どのようなものでも、一心に見つめれば、神々の不朽の霊体に到達する門となり得る。」
と語っていますが、正にそんな感じです。

 ウィリアム・ブレイクは『天国と地獄の結婚』の中で、同じことを語っている。
●「知覚の扉が浄化されるとき、人間にはあらゆる物事があるがままに、すなわち無限のものにみえるだろう。」

 究極的には天使でなくても大丈夫なのですが、この2者の言葉は非常に写真的、Talking with Angels的、そして華厳経的視点なのです。

 『ユリシーズ』と言えばやはり、ゴダール監督の『軽蔑』です。

 ラストシーンもとてっもいい。

(このシーンに出ている映画監督は『メトロポリス』や『M』で有名なフリッツ・ラング本人)
 はじめの1分は、別荘のマラパル邸やその風景が美しいこと!
 後の1分は、オデュッセウス(英語名、ユリシーズ)が確か、故郷の海を見つめるシーンだった記憶が…。
 そしてイタリア語の
「Silenzio!」 「お静かに」「静寂」で     『FiN』
 写真集でも使った海と空の映像。
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