グノーシス主義 | Talking with Angels 天使像と石棺仏と古典文献: 写真家、作家 岩谷薫

グノーシス主義

 さっさと更新しましょう。『コート・ダジュールの天使達』では、グノーシスの文献からの引用も多いのです。
 グノーシスとは何か?なかなか定義が難しいようで、Wikiを読んでいると、面倒臭くなります。むしろこちらの説明の方が幾分解りやすい


 私も8~10年前頃に傾倒し調べた思想故、今頃、詳細に語れと言われても酷な話で、記憶の欠損がいなめません。その意味でも、この写真集を7年前に、まことにバカバカしい所行で潰した出版社の罪は大きい。

 ただ、グノーシス主義は、リンク先の説明にあるように、宗教を無条件に信じる狂信や、蒙昧ではなく、あくまで「知」や「認識」によって世界を解ろうとしたところにとても共感が持てました。

 写真集に引用した エピファニウスの

ニース天使
わたしはあなたであり、あなたはわたしである。
あなたのいる所、どこにおいてもわたしがいる。
わたしはあらゆる所に散在しているので、
あなたが望むのであれば、あなたはわたしを集められる。
そしてわたしを集めるときあなたは、
あなた自身を集めているのである。

などは、実に華厳経の究極の境地、「事事無礙法界(じじむげほっかい)」の世界にまで到達している思想、あるいは直感で、スバラシイと思います。
 仮に「華厳経も仏教という宗教だ。と思う人は、認識が甘過ぎます…」
華厳経はもはや、物理学の世界でも、定説と成り得る可能性のある一大哲学書です。

 これに早くから気付いていたのはおそらく鈴木大拙でしょう。彼が妙好人を評価するのは正にこれ故なのです。
 過去に私が書いたこの記事を御覧ください。

『わしのこころは あなたのこころ 
 あなたのこころが わたしのこころ
 わしになるのが あなたのこころ』

 妙好人の浅原才市が、グノーシスと、あるいは華厳経と、同じ事を言っています! (ちゃんとこの記事でも華厳経と記しているところが、我ながらその過去を想うと悲しい…)

 一塊の下駄職人の妙好人のものすごい直観力なのです。

 悪い出版社のせいで、写真集の出版順番が狂ってしまい、『笑とる仏』の真意を理解できる人が、極少数だったのは無念ですが…
(私の知る限り、あの当時、直感的に瞬時に理解できた人は、谷村新司さん。大徳寺の山田宗正さん釈徹宗さんだけです)


『笑とる仏』と『コート・ダジュールの天使達』は実は繋がっています!
その思想的背景を後書きで解説したのが『コート・ダジュールの天使達』でした。
『新釈 中国古典怪談』の242ページで書ききれなかった内容はこれでした。

 このグノーシスの思想は、ルネサンス期のメディチ家が、注目しており、その一部は『ヘルメス文書』として翻訳もされています。
 たしか、一月ほど前、TVの『世界ふしぎ発見』で、メディチ家の『ヘルメス文書』の本物が映されており、感慨深いものがありました。

 そもそもグノーシスの思想は地中海生まれなので、この写真集とも実は縁があるのです。

 このように、万物一体の思想は、華厳経やグノーシス、真宗の一塊の下駄屋さんにも、あるいは、ここで紹介したように、亡び行く貴重な民族の間にも伝承されていたものなのです。
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