もうこの世に居ない人たち | Talking with Angels 天使像と石棺仏と古典文献: 写真家、作家 岩谷薫

もうこの世に居ない人たち

マントン 天使 ここしばらく、『Talking with Angels』でお世話になった方々に献本やお知らせをしていました。特に、過去に私から『Talking with Angels』を買ってくださった方々には、ぜひお知らせしたいのですが、過去にメルアドを全て消してしまうという事故があり、お知らせしたくてもお知らせできない方々も多々おられ…、無視している訳ではございませんので、申し訳ございません…汗。

 そんな読者さんの中には、『ロンドンの天使達』の頃より、たまにメールを下さる方がおられ、去年の4月に彼女から2~3年ぶりにメールが来ました。

 内容は深刻で、癌で余命は、治療しなければ数ヶ月とのこと。自分の命が危ないのに、三冊目の天使の写真集の行方を心配してくれている内容と、間に合わないかも…という気持ちに、胸が傷みました。
 さらに私を驚愕させた事実に、彼女は自分の夢に向かって勉強している人なのですが、なんと1年前に、私の写真集の舞台である、ニースに留学していたと言うのです!!!!
 私は、お顔を知らない読者さんには、絶対、次の写真集の舞台をお知らせしません。 にもかかわらずこの偶然!! 世界は広いのに、どうしてピンポイントでニースなんだ??!!と驚愕しました!!

 この驚きと、間に合わない思いで、自分の禁を破り、彼女に『Talking with Angelsーコート・ダジュールの天使達』の原稿をメールで送ってあげたのです。
 彼女は「ステキです!!」「天使も鳥もお花も躍動感に惹かれました」「奇麗な青の世界!」「きっと免疫あがったと思います♪」等、絶賛でした。

 死と隣り合わせの病床の彼女に、最高の贈り物ができたと感じたものです。
 しかし、本でなかったのは、まことに、無念でした………涙

 それ以降、私からメールをしたことはありません。元々お顔を知らない2~3年に一度の仲ですし、私の中で、お元気ですか?とメールするのがためらわれた為です。
(仮に、私が彼女と同じ立場でも、心配をさせない為にそれ以上、連絡はしないと思います…)

 このたびやっと7年もの歳月をかけて『Talking with Angelsーコート・ダジュールの天使達』が出版出来たので、急ぎで彼女に出版できた旨をメールをしてみました!

 メールは返ってきません………
 いつまで待っても、彼女からのメールは返ってきません…………


 おそらく、間に合わなかったかと………涙

 むしろ、このブログを読んで、「私を殺さないでよ!」と怒ってメールが来てほしいくらいです………「あなたの写真をみて免疫力上がったよ!」と言ってほしいくらいです。

 メールを送った時に、更なる驚きに襲われました!!!
 彼女が去年メールを送ってくれていた日付は、正に、私が『Talking with Angelsーコート・ダジュールの天使達』を出版した4月5日だったのです!!!

 やはり、あの世で、力になってくれることはあるのでしょうか???
 「私だよ。」と空から言われている思いがしました…涙
 この出版方法を見出したのが去年の11月頃なので、その頃だったのかもしれません……

 
 去年11月に心筋梗塞で急逝されたデザイナーの岡優太郎さんだってそうです。いつも『笑とる仏』や『新釈 中国古典怪談』、そしてこの『コート・ダジュールの天使達』を親身になって心配してくださっていた人も、もうこの世に居ない……彼にこの写真集を見せたら、きっと喜んでくれたろうに………と無念でなりません…………。彼も空から力になってくれたのだろうか…?

 これほどの写真集を7年前、幼稚な印刷知識で潰した出版社、編集者の罪は重い。 しかも、この作品を7年間もなおざりにしてきた出版界にも、がっかりしている………。 このむしろムダとも言える7年間を返して欲しい。作品を見たくても見る事ができなかった人たちの気持ちと時間を返してほしいとさえ思う…彼らに間に合わなかったのは、とても無念で残念です………涙 7年は永過ぎる…。
 
 当たり前だけど、人はいつ死ぬかわからない。だから私は、一つ一つ遺書を作るように作品を創る。もうこれで最後かもしれない。
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