新釈 中国古典怪談42 ゲシュタルト崩壊から漢字、命名の力へ | Talking with Angels 天使像と石棺仏と古典文献: 写真家、作家 岩谷薫

新釈 中国古典怪談42 ゲシュタルト崩壊から漢字、命名の力へ

42 最近、ゲシュタルト崩壊という面白い言葉を知りました。要は目の錯覚みたいなものです。いろいろ捜すと面白いよ。

 そこで紹介されていたのが、祝の文字の集合。なんだか文字の中に「呪」の文字が見えてきませんか?笑

祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝祝


 これは案外深い。笑

 「祝い」には必ずどこか「呪い」が隠れているものですね。
 解りやすい例は、結婚式。喩えが古くて申し訳ありませんが、シュガーの『ウェディイングベル』という曲は正にそうでした。(若い子は知らんよね。笑)「くたばっちまえ、アーメン」です。あんな呪いの歌がもてはやされNHKの紅白にまで出るくらいですから、世の中はそういうものなのでしょう。
 祝い事には、かなり高確率で薄汚い「やっかみ」等、呪いがわからないところで幾分隠れていると思って間違いないでしょう。 呪いの恐ろしさについては、『新釈 中国古典怪談』で紹介した通り。それが、全く筋違いのバカな「やっかみ」や「ねたみ」であってもです。
 狂った人間にはよほどの注意が必要なのです。

 漢字の母体である甲骨文字の真の意味についても『新釈 中国古典怪談』でも書いた通りです。

 「祝」と「呪」の成り立ちを調べてみました。

 「祝」の「ネ」(しめすへん)「示」は祭壇を現わし、「兄」は、そこに跪いている人を表すそうです。つまり巫女が、祭壇の前で神を祀っている姿です。

 「呪」の「口」は祭器をあらわしていて、「兄」の巫女が祭器を報じている姿を表しているそうです。つまり、「祝」も「呪」も、神様に祈る姿勢は同じ、同様な漢字なのです。
 もともと「呪」には、良い事を祈る事と、悪い事を祈ることの両義があったそうですが、後に呪いや呪文の意味が強くなったとか。

( ちなみに安倍晴明は「呪」(しゅ)という言葉を使っています。これは呪いというよりは、呪文という意味です。
 夢枕獏さんの小説『陰陽師』で安倍晴明が語っているそうですが、

「名前はこの世で一番短い呪である」と。

 これはけだし名言です! 目に見えぬ人の魂を縛るのが名であり呪なのです!
 このことは、『新釈 中国古典怪談』でも比較的多くを割いて語った通り。)

 話を「呪い」に戻すと、こうして、「祝」も「呪」も「神の前で念じる」という共通項なんですね。それがプラスに働くかマイナスに働くかだけの違いだけであって、やっている行為自体は、「神の前で念じる」あるいは『念じる』という点において全く同じ行為なのです。
 これは案外、悪心の無さそうな「おまじない」も「お呪い」と書き、視点を変えれば一種の呪いである場合もあることに、気付かれることでも解るかもしれません。
 ちなみに、念じるとは、プラス面でもマイナス面でも案外パワーのあることなのです。

 象形文字である、漢字には、この成り立ち以前にもっと深い意味があったことは『新釈 中国古典怪談』でも記した通り、要は、「祝」も「呪」も文字の根っこが同じなので、こうして容易にゲシュタルト崩壊が起こり、しかも真実を伝えてしまっているのですね。笑

 安倍晴明流に言うと、

「漢字はこの世で最も短い呪である」 と言えるでしょう。

 世界中の現役の文字の中で、漢字ほど魂と歴史を持った息の長い文字は存在しません。それだけに普通の人が気付かない力もあるものです。
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