信州読書会さんに参加させていただいて、毎週金曜日に
課題図書の感想文を提出させていただいています![]()
京都の罪人を遠島に送るための高瀬舟に、弟を殺したという
喜助という男を乗せます。護送役の同心である羽田庄兵衛は
喜助が晴れやかな顔をしていることに疑問を持ち、訳を尋ねる
ところから、話が始まります…。
高瀬舟は、強盗殺人のような凶悪な犯人ばかりではなく、
心中で生き残ってしまったりと同情の余地がある罪人も
多く含まれていました。
喜助は犯した罪について語りますが、聞いていた同心の
羽田庄兵衛がわが身と引き換えて、何とも言えない気持ちに
なるのです。
ここは、物語の革新なので、詳細は延べませんが、
弟殺しの裏に隠された真実を知り、「本当にこれは罪と
いえるのか」という煩悶が襲います。
そして、その後、こんなにも晴れやかな罪人の喜助は
「足るを知る」人間であったことを理解し、わが身を振り返りま
す。
「足るを知る」は頭で理解していても、難しいものです![]()
自らの恵まれた部分には目がいかず、不幸な部分にだけ
フューチャーしてしまいます。
向上心は大事ですが、もう一度自らの足元を見つめなおす
機会に、この本はいかかでしょうか?
『 弟からの万謝 』
「済まない。どうぞ堪忍してくれ。どうせなおりそうにもない病気だから、早く死んで少しでも兄きに楽がさせたいと思ったのだ。笛を切ったら、すぐに死ねるだろうと思うたが息がそこから漏れるだけで死ねない。」( 新潮文庫 P.261 )
と喜助の弟が、血まみれの布団の中で突っ伏している。最初は医者を呼ぼうとした喜助も弟の恐ろしい催促に屈し、結果的に自殺幇助をしてしまう。
本人は自殺のつもりでも、他人の手が入れば、それは殺人になる。
兄を思いやるあまり自殺をはかり、今度は死にきれない弟を思いやるあまり、剃刀を抜いてしまった事情までは法は汲み取れない。ユウタナジイという観念もない時代だ。現代も法の整備が整っていない始末なので、当時は言わずもがなだ。それがわかっていれば、最後までひとりで死にきるのも残されるものへの思いやりということになってしまう。やはり、喜助は殺人罪で遠島となる。
生きる権利は確保されていても、死ぬ権利はいまだに認められていない。もちろん、安易な自死を認めるわけにはいかないが、現在の基本的人権の尊重にある「人間が人間らしい生活をする上で、生まれながらにしてもっている権利」にある「人間らしい生活」ができなくなった時の本人の意志とは。
延命装置のスイッチを切る能動的な死と治療を放棄する消極的な死…直接剃刀を抜いた能動的な死と失血で2、3日後に死ぬまで待つ消極的な死…。同じかもしれない。
同心の庄兵衛は、果たしてこれが人殺しといえるのかという疑いと共に、喜助の話に条理が立ちすぎているという引っかかりも覚える。条理が立ちすぎているのは、幾度も奉行所で調べられたからであろうと腑に落とす。
これは喜助からの説明なので、ひょっとしたら敢えての殺人だったかもしれぬ。それは、すべては喜助の心の中だけしかわからない。心の問題を法で具現化することは難しい。
ただ、喜助は殺人罪に問われたとはいえ死罪にはならず、鳥目二百文を貰い、新天地で再出発をする機会を得た。もちろん、庄兵衛のように恵まれた生活に麻痺していると遠島は刑罰だが、喜助には十分に有難い結果になった。
早くに親を亡くした兄弟が、貧しくも相手を思いやりながら生活してきたことには間違いはない。弟が喜助に対して、この結果を予期して自殺をはかったわけではないが、世話になった兄に対して、万謝の念を伝える結果になった。私の読後感も救われた。
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