信州読書会さんに参加させていただいて、毎週金曜日に
課題図書の感想文を提出させていただいています![]()
今回は、永井龍男の『 一個 』の感想です![]()
定年間近のサラリーマンの佐伯は、再就職口を探しますが
思わしくありません。帰途についた電車の中、抱かれていた
赤ん坊が天使のように見えてしまいます。そして、そのことを
隣の乗客に話しかけるのですが……。
実は、これは妄想なのです。帰宅してからも、柱時計が
話しかけてくる幻聴に襲われます。
娘が危篤なのにも関わらず、就職活動をしなくてはいけなかった
佐伯の行く末が、すごく気がかりですが、その後は是非、
手に取って確かめていただきたいと思います![]()
なんともいえない気持ちをあぶり出し、我が身に引き換える
シンドさを永井龍男氏の小説では味わえます![]()
『 エンゼルは天使 』
佐伯は、地上で最後の夜、天使に出会った…というより、天使は神の使いであるから、天から遣わされたというべきか。白い帽子をのせ、すっぽりとおくるみに包まれた嬰児の姿をした天使だ。
旧約聖書に「これは主があなたのために天使たちに命じて、あなたの歩むすべての道であなたを守らせられるからである」(第91篇11節)とあるように、佐伯を守るために現れたか、もしくは…。
あと二ヶ月で停年になる佐伯は、再就職のプレッシャーの中、ひたひたと忍び寄る五十五回目の誕生日に怯えていた。柱時計の振り子が何かのカウントダウンのように、佐伯を追い詰めていく。何事もなく家庭を支えていた頃は、全く気にも留めていなかった柱時計。
( 引用始め )
「この家は、つぶされる、かも、知れません。しかし、つぶれる、までは、私が、こうして、支えています、この家は」
柱時計は、正確な調子でそういっていた。
呼吸にも、動機にもぴったりテンポを合わせて、もう佐伯から離れはしなかった。
「ええ?そうです、たった、二か月。あとは、二か月。どうします、たった、二か月。たった……」と、佐伯を追いかけてくる。それは妻の声音を真似ていた。
< 新潮文庫 P.183 >
( 引用終わり )
この家庭を支えていたのは、自分だという自負。停年後は、定期券が切れるように、自らの居場所が突然なくなるという恐怖。つぶされるのは家じゃなく、自分自身だという悲哀。佐伯の進んでいく「道」を、娘の危篤を知らせる電報ですら止めることはできなかった。佐伯が葬儀屋を意識した時点で、嬰児の天使はデッド・オブ・エンゼル(死神)になりたもうたか。
いや、天に召される「道」を逝く佐伯を守るための天使だったと信じたい。だって、作者は電車の白い吊り手を欲しがる天使と佐伯は愉快に遊んだって想像しているじゃないか。
エンゼルは天使、サラリーマンは月給取り…私も、佐伯が日本語の方法や地上の居場所にこだわらずに、嬰児の天使と共に天に昇ったと想像したい。
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