信州読書会さんに参加させていただいて、毎週金曜日に
 課題図書の感想文を提出させていただいていますニコニコ

 

 今回は、森鴎外の『 山椒大夫 』の感想です本
 日本の昔話として、小さい頃に絵本で読んだ方も多いと

 思いますウインク

 私も、幼い頃に絵本バージョンで読んでいましたが、

 絵本にありがちなハッピーエンドではなく、やっと再会できた

 母親の目が見えなくなっているという切ない感じを覚えていました。

 森鴎外の本編は、絵本とストーリーは同じですが

 完全に大人の読み物で、読み応えがありますビックリマーク

 より深い事情が露わになって、なかなか泣かせますえーん

 絵本を読んだ人も読んでいない人も、短編で読みやすいので

 是非どうぞビックリマーク

 

 

 

『 神仏の化身のごとし 』

 

 平安末期、父探しの旅の親子は、不運から人買いによって離散させられる。その後、悲惨な運命に翻弄されるが、私はこの家族を包むあたたかい視線を感じないわけにはいかなった。

 

 人買いによって、母親と別れた姉弟は過酷な労働に身を置く。苛烈な領主の息子のひとりに二郎がいた。二郎は、奴と婢に別れるところを、うまく父親を言いくるめて、姉弟を一緒に置いた。父母を恋しがる姉弟に、咎めることなく「大きゅうなる日を待てばよい。」と声をかける。しかし、三郎に逃亡の議を聞かれると烙印をすると脅される。三郎は、長男にさえも烙印をおした山椒大夫の血を濃くひいているのだ。そんな中、二郎の密やかな導きは偶然とは思えない。

安寿はやがて、厨子王を逃がす決心をするが、ここでも二郎の導きがあった。姉弟が一緒に入山することに、またしても三郎は安寿の髪を切れと茶々を入れる。三郎もどこまでも変わらない。

安寿の犠牲を経て、厨子王は曇猛律師に救われる。確かに、直接的な恩人はこの曇猛律師であるが、私は二郎の導きなしには成しえなかったと思う。安寿の入山の願いの際、物も言わずに安寿の様子をじっと見ていた二郎は、こうなることをすべて見抜いていたのだろう。二郎というより、母親に託された地蔵尊が姿を変えて、姉弟を見守っていたのかもしれない。

深い家族愛と信仰を持つ一家には、過酷な運命に見舞われても、神仏の見えない慈愛があるように感じる。旅の目的は左遷された父親に会いにいくことで、人買いに出会ったのも子供たちを休ませる為であったし、厨子王が逃げられたのも姉の弟を思う犠牲があったからだ。

その後も、地蔵尊がきっかけで師実に出会い、厨子王は国守になる。ここで、山椒大夫に復讐をせずに人買いを禁じただけであった。そのおかげで、山椒大夫の家はより栄える。納得はいかないが、元の話では復讐がされているらしい。しかし、鴎外はより栄えさせることで、二度と人買いをさせないという方法をとったのではないか。厨子王には益々の神仏の慈愛が注がれるだろう。

 

高齢で盲目になった母は、「安寿恋しや、厨子王恋しや」と子供たちを思う歌のおかげで、厨子王と再会が叶った。別れた子供たちを守るために、地蔵尊に自らの目を託したのかもしれない。それは神仏の眼差しというより、母の愛だった。再会という満願の際、再び厨子王をしっかりと見つめることができたと信じたい。

 

 

 

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