池田大作も創価学会も僕は全く縁がないけれど、ここまで短期間で巨大宗教化して公明党は今や政権与党となっているわけだから、教義や歴史を知ってみたいと思った。
佐藤優氏は、プロテスタントのキリスト教徒という第三者の立場で創価学会の内在的論理、池田の人と思想に、池田大作著の「人間革命」の記述を追いながら迫っている。
「人間革命」は池田大作の自伝的作品であると同時に、創価学会にとって精神の正史という位置付け。
佐藤優は「人間革命」を正確に読みながらその中にある創価学会の内在的論理をキリスト教との対比を織り交ぜながら明らかにしていく手法を取っており、それが創価学会を知らない第三者の読者からはとても分かりやすい。
創価学会の歴史も初めて知ったが、戦時中の弾圧と牧口常三郎(創価学会初代会長)獄死、苦労人で勉強家だった池田大作が学会と出会って世界宗教化していく過程は、様々な苦難の連続であり、佐藤優氏の言葉を借りればキリスト教に似ている。
日蓮正宗と創価学会との関係も、本著を読む限りユダヤ教とキリスト教ということになるだろうか。
日蓮正宗に破門されるまでの経緯もよく分かる。
「広宣流布(布教)は、どこまでいっても、結局は御本尊様の仕事です。自分たちがやっていると思うのは、一種の傲慢です」という2代会長戸田の指導に創価学会の政治観の基本があると佐藤は書いていて、それはキリスト教のパウロの人間観に近いとする。
パウロは人間は、自分が善いことを行おうとしても、それに反する悪いことばかり行っているという現実を真摯に見つめる。
「もし、わたしが望まないことをしているとすれば、それをしているのは、もはやわたしではなく、わたしの中に住んでいる罪なのです。」というパウロの言葉に深く考えさせられる。
池田大作氏は昨年11月15日、老衰のため逝去。ご冥福をお祈りいたします。