クライミングの基本フォームとムーブ | 奇跡の今日一日

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山岳ガイド
宮崎薫ブログ

  

クライミングは様々な要素が複合的に絡み合う。


技術面の他にも、体幹・バランス感覚・柔軟性・筋力などの身体能力、ルートを読み解く力とムーブを組み立てる力、そして何より恐怖心をコントロールするメンタルの要素も非常に大きい。


基本技術はジムのスクールやガイドの講習会などに参加したり、技術書で学ぶことも役に立つ。

 

 

 

 


「CLIMBER'S BIBLE(クライマーズバイブル) 上下巻」PUMP クライマーズアカデミー

 

 

◆ 基本フォームとムーブ

1. 重心(腰)は壁に近づけ上体は起こし、なるべく腕を伸ばす。
重心が壁に近いほど、足に荷重がかかり腕の負担は軽減される。腕はなるべく伸ばし、膝を曲げて腰は落とす。腰を落とす際には壁から離れた方向にお尻を落として突き出す形にならないよう注意。重心が壁から離れ、体力を消耗しやすくなってしまう。上体を起こしてルート全体が見やすいように。

2. 呼吸を止めずに肩の力を抜いてリラックスして登る。

3. 足を上げるときはスタンスを見ながら腕を伸ばし、足はできるだけ上げすぎず小刻みに。
足の位置を変えずにホールドに手が届くのなら、何も考えずに次のホールドをつかむことが正解。足を上げすぎると、縮こまったような腕力消耗姿勢になってしまう。

4. 足は踵を上げ膝を下げていくというイメージで乗り込んでいく。
・ホールドに足を乗せ終えるまで足元をよく見て、一点にピンポイントで置く。
・基本は親指の付け根をホールドに置くインサイドエッジ。  踵を少し上げて内側に回転させるようにかき込んで足を置く。足は体が傾倒し壁に入っていくイメージ。
・アウトサイドダイアゴナル(側対)などツイストムーブの場合は、小指の付け根を置くアウトサイドエッジ。

5.  極小ホールドにはスメッジング

・シューズを壁正面に向けて、足の指の腹を壁に押し付けるスメアリングと極小ホールドへのエッジングを意識(スメッジング)。


6. ムーブに入る前は、軸足は左右どちらなのか、ムーブは正対なのかツイストムーブなのか確認。

 

・軸足は次に右のホールドを取るときは必ず右足、左のホールド取るときは左足。足の置き方が正対(インサイド親指側)かツイスト(アウトサイド小指側)かの違いのみ。フラッギングムーブのみ例外。


① 正対(インサイド・ダイアゴナル)
 ・基本は保持ホールドと次のホールドの間に軸足がある場合
 ・インサイドエッジ

 ・体を動かさず足だけ上げてから立ち込み、蹴り足が伸び切ってから手を出す。爪先で立ち上がって乗り込むと腰が自然も壁に近づく。

 ・正対は蹴り足をスメアリングしてデッド。スメアは爪先を正面に向けて壁に押し付ける。基本は出す手の対角線上、軸足の膝くらいの高さ。

 

② 側対(アウトサイド・ダイアゴナル)
 ・基本は保持ホールドと次のホールドの反対に軸足がある場合

 ・アウトサイドエッジでのツイストムーブ

 ・振りでデッドはない、スタティックな動き。振り足をひねって腰をツイストしてから壁に腰を近づけて手を出す。

 ・引き手は曲げずに足を伸ばし切って手を出し、蹴り足はスメアで伸ばし切る。

 

①②いずれも左右の手足は対角保持(ダイアゴナル)バランス。


・それ以外の手順の選択肢は、マッチ、送り、クロスのみ。
右手保持からスタートした場合の、次の一手一足の選択は次の4パターンになる。
① 左右交互
 ・左右交互に手を出す
② マッチ
 ・同じホールドで左右を持ち替える
③ 送り
 ・手前のホールドの保持が悪くて次がいい場合、手前を一瞬中継してから次を取る
④ クロスムーブ
 ・持ち替えずに手を交差して取る

7. 足→腰→腕の順番
・足を上げたら腰を壁に近付け、腰を十分に落とした状態から体を引きつけてホールドを取りに行く。

8. ホールドをとったら、それが一番効果的に体重をささえられる状態に重心の位置を移動する。
・ハンドホールドを最も効かせられて体が安定する体勢。 
・縦や斜めのホールドの場合は体の振りで、そのホールドが一番効く方向(ホールド面の対角)に重心のベクトルを持っていく。
・引き手のホールドが縦や斜めの場合、ムーブは側対になる。

9. 傾斜壁は側対(振り)が基本。
・振りは引き手の真下に軸足置いて、広げる足は真横よりやや上を蹴る(右のホールドだったら、引手は左、軸足は右)。膝を内側に入れて重心を壁につけ、体をひねりながらホールドを取る。
・手のホールドはそのままに、逆足を一段上に上げ腰を落として、次は逆側に振るの繰り返し。

10.  ホールドにどうしても手が届かない場合、左右の足の置き替えを考えてみる。
・ホールドの上で左右の足を置き替える。例えば右方向のホールドをとろうとして届かない場合、右足で乗っているホールドを左足に置き替えて右足を乗せるホールドを替える。右足と左足を入れ替え遠くのホールドに届きやすくする。
・内側の足を壁と体に通してクロスさせることで、足の置き替えを省略することも出来る。

11. 持ちやすいホールドを持った時と、クリップした後は、腕を下げてプルプルレスト。
・核心前はレスト時に手順、足順を確認。レストは重心を落として腰を壁に入れホールドの真下に。両足を手のホールドの真下に持ってこれないときは、振りの動きで腰をホールドの下にもってくる。

12. 横や斜めへの連続移動はマッチもしくはクロスムーブ。
・左→左→左のように同じ方向へ連続して進むとき、両手を一度ホールドの上でマッチさせてから小刻みに進んでいくのが基本。
・手数を少なくするためやホールドがマッチできない小ささの場合、手を体の前でクロスさせてホールドを取る(クロスムーブ)。
・ホールドを取った後、手をクロスした不自然な状態から、態勢を整えるため、身体を反対方向に返す。

13. 軸足とは逆側の手を出さないといけない場合は、フラッギングでバランスを維持。
・アウトサイドフラッギング
ホールドに乗っていない足を体の外側に体を流してバランスを取る。
・インサイドフラッギング
ホールドに乗っていない足を体と壁の間に流してバランスを取る。