ハーネスの基本 | 奇跡の今日一日

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山岳ガイド
宮崎薫ブログ

ハーネスは登山やクライミングで、自分の身体とロープを繋ぐための安全帯。

 

大きく、クライミングハーネス(ベーシックタイプ)、クライミングハーネス(スポーツタイプ)、アルパインハーネスに分類される。

1.クライミングハーネス(ベーシックタイプ)

フリークライミングやアルパインクライミング用で、多少重さはあるが安定感と使いやすさが重視されてる。体重を安定して支えるためパッドが大きかったり、ギアラックが多く機能的にも充実している。

クライミングハーネスの前提として、UIAA規格適合でビレイループ強度15kN以上。


2.クライミングハーネス(スポーツタイプ)
スポーツクライミングでのコンペを想定して、軽くて動きやすい作り。

軽量化のためにギアラックが少なかったり、ベーシックタイプに比べると、長時間ぶらさがってると感触が悪かったりというデメリットもある。

 

3.アルパインハーネス(簡易ハーネス)

アルパインハーネスと呼ばれるがアルパインクライミング用ということではない。雪山、沢登り、登攀要素の高くないバリエーションルート等での確保に使用。

クライミングハーネスに比べパットが薄く、アイゼンのまま装着できるタイプが多い。ギアラックは最小限だが重量は超軽量。

 

 

◆ハーネスの装着方法

① ビレイループが体の正面に来るように持ち、レッグループに足を通してハーネスを腰まで引き上げる。

・レッグループは手のひらが入るぐらいの余裕を持たせる。
・レッグループが上下逆になってないか、リアストラップ(後ろ側のストラップ)にねじれがないか確認。

② 腰に回したウエストベルトを締める。

・墜落して頭が下になっても、ハーネスがすっぽ抜けないように腰骨で止まるようにウエストベルトを締める。締める時に最後、下を向いてお腹を引っ込めると良い。
・シングルバックルは折り返してあるか確認。(二重バックルは折り返しの必要ないが、使用中不意に緩んでないか常に確認。)
・ウエストベルトの末端は、引っ掛けないようにベルトループに通して留める。
・ウエストベルトは最低8cmの末端を確保。

 

③ ハーネスとロープを結ぶ。
・タイ・イン・ポイントにロープを通し、フィギュアエイト・フォロースルーで結ぶ。

・ロープがよじれることなくきれいに結ばれていること
・一本一本それぞれ四方向に強く締め込む
・ループの直径はビレイループと同径
・ロープ余端がロープ径の10倍以上あること
 (IFSCのルールではエイトノット+末端の二重止め結び必須だが、ロープ余端がロープ径の10倍以上あれば末端処理は不要)

 

 

 

 

◆ハーネスの耐用年数

 

化学繊維は当然経年劣化する。ペツルの取扱説明書に記載されている最長期間は、製造から10年。

命を預ける道具だけに、どれだけ外観上問題なくても、製造から10年経過しているハーネスは絶対に使用しないようにしたい。

特に一番最初に痛むのがビレイループ。ここが破断したらアウト。使用頻度などにももちろんよるけど、5年以上経過したハーネスは買い替えを検討したほうがよい。