もうすぐ終わってしまうので…
私の覚書
朝起きた私は、鏡を見て思わず大声を上げてしまった。
かおる
「あ…っ?!」
(お、おでこに大きなニキビが…っ?!)
ナギ
「ん…」
かおる
「!」
(大変、ナギさん起きちゃう?!)
(どうしよう。こんな大きなニキビ見せたくないよ…!)
かおる
「何か隠すもの…あっ」
(ナギさんのバンダナ!)
かおる
「い、今だけお借りします…!」
きゅっ
(い、一応隠れたかな?)
(ど、どうしてこんな急に大きなニキビが…?)
(医務室に行ったら薬とかもらえないかな…)
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かおる
「失礼しまーす…」
(あ…やっぱりまだ誰もいない。当然だよね、早朝だもん)
かおる
「どうしよう…。あ、あの薬とかって違うのかな?」
(確か前に一度だけソウシさんが薬を塗ってくれたことがあったんだけど…)
(どれだっけ。うろ覚えだな…)
かおる
「椅子の上に乗って、っと…」
ナギ
「おい」
かおる
「!!!」
ぐらっ
かおる
「きゃっ…!」
ナギ
「!」
がしっ
かおる
「!」
かおる
「ナ、ナギさん…!」
(た、倒れそうなところを抱き抱えられちゃった!)
ナギ
「相変わらず危なっかしいな、お前は…。怪我はないか?」
かおる
「は、はい…」
ナギ
「そうか…」
ナギ
「部屋にいないと思ったら、こんなところにいたのか」
ナギ
「朝起きていないから探しただろう、仕込みの時間だ」
かおる
「あ、すみません…」
ナギ
「だいたい…どうして俺のバンダナを勝手にしてるんだ?」
かおる
「そ、それは、その…えっと、ちょ、ちょっと気合を入れたくて」
ナギ
「はぁ?」
(わぁ…露骨にうさんくさそうな目をしてるよ…)
(でも、ニキビを見られないようにしなくちゃ)
ナギ
「なら…なんでそんな下向きなんだ」
かおる
「き、気のせいです」
ナギ
「……」
(う…し、視線が…)
ナギ
「…まあ、言いたくないならいい。行くぞ」
かおる
「は、はい…」
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(う…っ。そろそろ下を向き続けるのも限界だよ…!)
ナギ
「おまえ」
かおる
「は、はい!」
ナギ
「バンダナで気合を入れるんならちゃんと髪の毛をしまえ」
かおる
「ええっ?!」
(そ、そんなことしたらニキビが見えちゃう…!)
ナギ
「なんだ?」
かおる
「いえっ、あの、こ、これでいいです」
ナギ
「何言ってるんだ?気合を入れるんじゃなかったのか?」
ナギ
「ほら、こっち来い。やってやるから」
かおる
「いいです、だめです、ダメです!」
ナギ
「…お前、朝から何を隠してる?」
かおる
「ななな、何も!」
ナギ
「だいたいそのバンダナが怪しいんだ。ほら、来い」
かおる
「だめです!だ、大丈夫です!取らないほうがいいです!」
ナギ
「……」
かおる
「あ…っ!」
(ナギさんにバンダナを取られちゃった!)
ナギ
「……」
かおる
「…っ」
ナギ
「…ぷっ」
かおる
「!!!!!」
ナギ
「なんだそのはれもの。ボタンみたいだな」
(…わ、笑われちゃった…!)
(ナギさんの笑顔なんて、レアなのに…)
(なのにニキビで笑われちゃったよ…!)
かおる
「…っ」
(どうしよう、泣きそう…)
くるっ
ナギ
「…かおる?」
かおる
「ちょ、ちょっと風にあたってきます」
ナギ
「おい、待…っ」
バタン!
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(逃げてきちゃった…うう)
(でもこれ以上このニキビを見られたくなかったんだもん…)
かおる
「やだな…ナギさん、私のこと変だと思ったよね…」
(うう…どうしよう、やっぱり泣きそう…)
ナギ
「かおる!」
かおる
「!ナ、ナギさん…」
ナギ
「こんなところにいたのか。お前、危なっかしい上にすばしっこすぎるだろ」
かおる
「……」
ナギ
「おい、何泣いてんだよ」
かおる
「だ、だって…ナギさん、ボタンみたいって…」
ナギ
「泣くなって。その…笑って悪かったよ。そんなに気にしてるとは思わなかった」
かおる
「いえ、私こそ急に逃げたりしてごめんなさい…」
ナギ
「だから泣くなって…」
かおる
「は、はい…」
ナギ
「別にそんなはれもの一つでお前の価値が変わるわけじゃないだろ」
かおる
「ナギさん…」
ナギ
「ほら、戻ってこい。肌荒れならいいスープがある。作ってやるからそれを飲め」
かおる
「ぐす…っ、ありがとうございます」
ナギ
「あとな…」
ナギ
「あんまり下向くな」
かおる
「?」
ナギ
「どんな理由があっても下向いてるお前より、前見て笑ってるほうが…」
ナギ
「俺は好きだ」
かおる
「!」
(え…っ、す、好きって…?!)
ナギ
「ほら、ぼさっとしてると置いていくぞ」
かおる
「えっ…あ、はい!」
ナギ
「さっさとしねえと朝食に時間になっちまう。急げ」
かおる
「は、はい…!」
(好きって…ナギさんが、面と向かって好きって…!!)
ナギさんの後を追いかけながら、私は先ほど言われた言葉を何度も思い返すのだった…。