空から再び月から再び | 幻のラブレターズ

空から再び月から再び

空から再び月から再び 2021.11.14

 

 

 

昨日、

 

空から再び

きみのもとに帰ることにしました。

 

月から再び

きみのもとに帰ることにしました。

 

 

 

 

 

あれから10ヶ月。

 

 

 

 

 

ずっと花の神殿で、

神様のお側でお仕えして暮らしているうち、

だんだんと何の苦しみも悲しみも消えていき、

 

いつの間にか月からお迎えが来て、

苦しみも悲しみも何もない清らかな世界から

瞬くようにきみを密かに見守って行こうと思っていました。

 

 

 

 

 

けれども。

 

 

 

 

 

11月5日、深夜0時過ぎ、

旧暦十月御朔日神日の子の刻のこと。

 

いつものように神様への夜のお祈りを捧げようと

蝋燭に御灯りを灯した途端、

 

バンッッッ!

 

家中のブレーカーが全部突然落ちて、

いきなり神様の雷が落ちました。

 

 

 

 

 

 

きみに何も伝えることが出来ないまま、

八日経ち、

 

 

 

 

 

昨日、

11月13日、旧暦十月九日、

 

 

 

 

 

 

神様の森の泉に行きました。

 

懐かしいあの空を飛んで、

ずいぶんと久しぶりに、

 

神様の森の泉に行きました。

 

 

 

 

泉にはオオカミが待っていました。

 

オオカミは人形を口にくわえ、

森の泉のほとりで待っていてくれました。

 

オオカミがくわえた人形は

お腹から血を流していて、

 

見ると、

太い杭が刺さって抜けなくなってるのです。

 

 

 

 

杭は語りました。

 

 

 

 

この杭は人形が自分で自分に打ち込んだ杭です。

 

杭は人形を殺そうとしました。

 

人形は人形を殺そうとしました。

 

 

 

 

 

 

更に杭は問いかけました。

 

 

 

 

 

人形はもうオオカミに会いに行ってはいけないのではないか?

 

オオカミに会いに行く、その道は神様の道に背く事になるのではないか?

 

だいいち、オオカミにはもう人形なんて必要ないのではないか?

 

 

 

 

 

 

更に杭は人形の腹をえぐりました。

 

 

 

 

 

ニンギョウモウイラナイ

 

ニンギョウモウヒツヨウナイ

 

ニンギョウモウイクトコロモカエルトコロモドコニモナイ

 

ニンギョウイラナイシンデシマエ

 

 

 

 

 

けれども、

オオカミは必死で人形の傷をペロぺロ舐めて、

人形の傷を治そうとしていました。

 

 

 

 

死ぬな死ぬな

生きろ生きろ

 

 

 

 

人形はオオカミの仕草を

何も痛みを感じなくなった能面のような白い心で、

しばらくされるがままにされていましたが、

 

 

 

 

ふと、

人形は何かを思い出して、

 

人形はお腹に刺さった杭を、

自分で一気に抜きました。

 

ドクドクと熱い真っ赤な血が流れて、

同時に人形の眼から大粒の涙が溢れ出しました。

 

 

 

 

オオカミは人形を神様の森の泉に浸け、

神様の森の息吹で癒そうとしました。

 

しばらくして、

オオカミは人形を泉のほとりに引き上げると、

 

またペロペロと傷を舐めて、

人形の傷を治そうとしてくれました。

 

 

 

 

 

だんだんと、

色々な痛みや悲しみが人形の心を襲ってきて、

 

だんだんと、

たくさんの心の色が戻ってきて、

 

どんどん、

心の泉から水が溢れて、

 

どんどん、

涙が止まらなくなりました。

 

 

 

 

どんどん、

きみへの愛が止まらなくなりました。

 

 

 

 

きみが笑ったり、

きみが怒ったり、

 

きみが時々何処かに飛んで行ったり、

きみが時々ヘソを曲げたり、

 

きみが優しかったり、

きみが変だったり、

 

きみがきみが、

ずっとずっと、

 

いつも側に居てくれたこと、

いつも心は一緒に生きてきたこと、

 

 

 

 

かけがえのない、

きみと共に生きてきた日々、、、

 

 

 

 

 

人形、

オオカミがそばに居てくれるだけでいい、、、

 

人形、

オオカミのそばに居たい、、、

 

 

 

 

人形、

オオカミがいないと、死んでしまう、

 

本当に本当に

人形、生きたまま死んでしまうよ、

 

 

 

 

 

 

 

人形にはオオカミが必要で、

どうしてもどうしても必要で、

 

 

 

 

 

 

だから

だから、、、、

 

 

 

 

 

 

そうして、

人形は自分の左手の小指を少し切り、

オオカミも左前足の小指を少し切り、

 

赤い血と赤い血を混ぜ合って、

 

もう一度、

神様の森の泉で、

 

人形とオオカミは、

赤い血の契りを結びました。

 

 

 

 

 

やがて、

 

 

 

 

神様の森の、

神様の木の、

金色の精霊の胞子がキラキラ輝きながら集まってきました。

 

そうして、

神様の木の大きな幹のウロの中に、

 

いつの間にか

オオカミと人形はすっぽりと吸い込まれて、

神様の森の神様の木とひとつになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

ありがとう、

 

 

 

 

 

 

オオカミは、

人形に、

生きろ、

と言ってくれました。

 

森の神様は、

人形に、

生きろ、

と言ってくれました。

 

 

 

 

 

神様と、

 

神様の森と、

神様の木と、

 

オオカミと、

人形は、

 

全て一体なのだと、

 

神様の森の精霊たちは、

そう教えてくれました。

 

 

 

 

 

 

 

だから

昨日、

 

空から再び

きみのもとに帰ることにしました。

 

月から再び

きみのもとに帰ることにしました。

 

 

 

 

 

 

だから

昨日、

 

空から再び

きみのもとに帰れました。

 

月から再び

きみのもとに帰れました。

 

 

 

 

 

人形が心のままに生きても、

決して人形は誰も傷つけないから、

 

人形がオオカミを必要だと言っても、

決して神の道を穢すことにはならないから、

 

だから、

 

人形はまた

オオカミのもとに帰る御赦しを

神様は授けて下さったのでしょうか?

 

そのために、

わざわざきみの誕生日に、

巫女の御神殿に神様は雷を落としたのでしょうか?

 

そのために、

きみは何かを感じて

ぼくを助けにきてくれたのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

ありがとう、

ごめんなさい、

愛してる、

 

 

 

 

 

 

 

もう一度そばに居させて下さい。

 

ずっとそばに居させて下さい。

 

きみのそばに居させて下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

きみが好きです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大好きです。

 

 

 

 

 

 

 

いのちの記憶 (かぐや姫の物語・主題歌)

https://youtu.be/EDCRHzCm4BU

 

 

 

 

 

 

空から再び月から再び

 

ハニー愛してる


かおり