京都文化博物館「異界へのまなざし あやかしと魔よけの世界」 | 美術館大好き!大阪・兵庫・京都・奈良へのお出かけ日記

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京都府庁旧本館から地下鉄で移動し、気になっていた企画展へ。こういう民俗学的な展覧会、大好き!


我々の世界のすぐ隣に別の世界「異界」があり、そこにはこの世ならぬモノが住んでいる。異界からやってくると考えられた病気や厄災に、人々はどのように対処してきたのかを紹介する展覧会です。

 

京都の人々は卜占(ぼくせん)や呪符といった本格的な対処のほか、鍾馗像、元三大師や蘇民将来のお札で魔除けを行ってきました。


写真はパンフレットより


 「呪符」「刀禁呪」 

陰陽師が刀で魔を退ける。「急急如律令」は律令に従って速やかに実行せよ、の意。陰陽師が魔が早く立ち去るように呪いの意味を込めて書いた。


●「鍾馗像」 

病魔を退ける道鏡の神様である鍾馗。厳めしい姿のものは知っていますが、ずいぶん可愛らしいです。

京都では屋根の上に鍾馗像を置き、魔を退けました。鍾馗に退けられた魔は周辺の家に行くと信じられているため、今でも屋根に鍾馗を置く時はご近所の了解を得るなど、配慮が必須なのだそうです。


●六壬式盤 

卜占の道具


●魔導(元三大師像) 

魔除けの護符。元三大師が2本の角を持つ夜叉の姿に変わり魔を退けた姿で、角大師(つのたいし)と呼ばれる。サンスクリット語で退魔の言葉が書かれている。


●「長谷雄卿逢羅城門鬼神之図」より 

平安時代の公卿・紀長谷雄が朱雀門(羅城門?)で男と双六勝負をし、美女を得るが、約束を守れず触れると水となり消えてしまった。実は男は鬼だったというお話。

朱雀門の鬼は笛を吹いたり双六をしたり、色々なエピソードが。人間が好きだったのかな👹


●「百鬼夜行絵巻」より 

付喪神がたくさん描かれています。とってもユーモラス。妖怪は恐ろしいだけの存在ではなかったのですね。


●「壬生面・嵯峨面」 

京都の壬生寺の壬生大念仏狂言、清涼寺の嵯峨大念仏狂言で使われたり売られたりしてきたお面。嵯峨面の方は優しげ。



5月に大阪歴史博物館で見た「異界彷徨」展とテーマは似ていますが、今回の展覧会は陰陽道や卜占、祇園祭にもフォーカス、京都らしい展示だと思いました。撮影不可でしたが、充実したパンフレットをいただけてありがたい



また、常設の陽明文庫のコーナーには藤原道長自筆と平安時代の古写本の「御堂関白記」が出ていて感激。中宮・彰子が後の後一条天皇を出産した、という記述を見ることができました。御堂関白記もいつか読んでみたいです。


●「御堂関白記」自筆本・古写本 国宝、平安時代





📝元三大師(がんざんだいし)

平安時代の天台宗座主で、比叡山延暦寺の中興の祖。名前は良源。


📝蘇民将来

厄災を祓い、疫病を除いて福を招く神。茅の輪くぐりに関連する神様でもある。京都では八坂神社にいるとされている。