自分の過去を振り返ると、
さまざまな人と出会い、そして
別れを繰り返しています。
自分では気がつかないうちに
出会いを無駄にしていたこともあったでしょう…。
大人になるまで、
人との出会いがどれほどすごい事か、
感じる事は無かった。
大人になり、子供を育てていて、
改めて感じている。
子供たちにも、
その人と出会えた事が人生を変えることもある。
だから、誰にでも誠実に対応してほしい。
そして、出会えた事を感謝し、
もう二度とその人とは出会えないかもしれないということを理解し、
真摯に向き合ってほしいと思っています
そんなわたしの一例を…。
新入社員として働いて半年ほどだったある日、
事務所に1人の老人が訪ねてみえました。
「どちら様ですか?」
「○と申します。店長さんはみえますか?」
あいにく、お昼時で、店長は外出中。
副店長は公休日。
他の事務員もお昼ご飯に出掛けていました。
「お約束でしたか?」
「いいえ、近くによったものですから、
ご挨拶に伺いました。」
上品な物腰、優しそうな風貌の男性…。
(商工会議所の方か、
テナントさんの社長さんかな?)
店長の携帯電話に連絡を入れようとしましたが、電源が切られていました。
(30年前は休憩中は電源切っている人が多かった。)
店内放送をかけるも、応答無し。
しばらく応接室で待ってもらいましたが、
誰も事務所に戻って来ません。
なんだか、申し訳ない気持ちになり、
ふと、冷蔵庫に10時の休憩時間にいただいた、ケーキを思い出しました。
「ケーキお好きですか?」
「甘いものは大好きですが…」
「そうですか!午前中にケーキをいただいて、
余り物で申し訳ないのですが、
いかがですか?」
ショートケーキを出しました。
ケーキを食べながら、
その方に仕事の事などを質問され、
二人で談笑しました。
食べ終えて、しばらくすると、
「急にお伺いして申し訳ございませんでした。
店長さんへは、○が伺ったとお伝え下さい。」
もうすぐ休憩時間も終わるので、
そろそろ戻って来ますから。と引き留めたのですが、帰って行かれました。
数分後…、
店長があわてて戻って来ました。
「来客があった?
外にプレジデントが止まってたから、
急いで走ったけど、間に合わなかった!」
「はい、○さんがおみえになりました。」
「あぁ~、
ごめん!携帯切ってたから…。
何か言われた?」
「?いいえ、何も…。
○さんはどちらの方ですか?」
「お前、うちの会長知らないの?」
(当時、従業員数数万人を越える上場企業)
「会長?…、知りませんでした!
どうしましょう!わたし、
余り物のケーキを出してしまいました。」
「ケーキ?
会長は甘いもの好きだから…、でも
余り物は悪かったかも…。」
会長に余り物のケーキを差し出した新入社員。
このエピソードは
店長から本部まで伝わり、
しばらくの間、本部社員からからかわれる事がしばしばありました。
しかしその後、とんでもない事に巻き込まれる
わたしを助ける手立ての一つになりました。
つづく。