涙が出ました… | あんた、しっかりしいや!

あんた、しっかりしいや!

人生曇り時々雨、たまぁ~に晴れ

不器用にしか生きられないけど頑張らんと!!

今日は、珍しく仕事のまじめな話し…


90歳代の母と60歳代の息子の2人暮らし

息子は小学校の教師を定年退職してからわずか1年半の間に認知症を発症

あっという間に進行して在宅生活が困難になり、息子の異常に気付いた母親が、遠方に暮らす長女に助けを求め…



結果、うちの会社の二つのグループホームに、別々に入所されることになった

息子は、今交わした会話は次の瞬間には忘れ、同じユニットの入所者を、母親と思いこんでは嫌がられ… また体操の時間は教師として指導にあたられる

見当識障害はもとより、排泄もままならない状態


片や母親は入所当日…

息子より遅れて隣のユニットに入所されたものの、認知症状はないので息子の事が心配でたまらない

「頭がおかしくなってるから、ちゃんと家に帰れるか… お金が無くなったら、路頭に迷う… あの世に連れて行きたい…」と涙ながらに訴えられた


息子さんは、お金の心配もなく、ご飯を3食きちんと食べ、お風呂にも入って夜は暖かいベッドで眠っているから、あの世に連れて行かなくても大丈夫   今からそれを一緒に見に行こう…と私は提案した


連れて行ってくれるの?ありがたい…と涙するお母さんを隣のユニットにお連れした


息子は、他の利用者を生徒として歌の指揮をとっていた

あんぐりしている母に、気がついた息子はようやく「あれ? 僕のお母さんじゃないですか。いやあ、お世話をおかけして申し訳ありません ありがとうございます  …と私に対して深々とお礼を言ってくださった。


そして、涙にくれる母親に対して、「お母さん、いつも言ってるでしょう。僕はちゃんとあなたを見送ってから、僕もそちらに行きますって…   それが僕の役割ですから   安心して下さい」とほほ笑んで母親の肩をぎゅーっと抱きしめて、

ソファーに並んで座り、「僕のお母さんです」と他の利用者さんに紹介された

母親を見る目が何とも優しく暖かい


この瞬間は、間違いなく健常者だった


私は職務を忘れて、たまらないものが込み上げてきた


しばらく二人きりにしてその場を離れたが、思わず涙が溢れてきた



認知症って残酷だ


この親子をどう捉えたらいいんだろう


子どもの立場にしても、、母親の立場にしてもやりきれない想いが残る


この後、お母さんは納得した様子で、自分の部屋に戻られ、穏やかに休息を取られた



私は将来、息子に「しゃーないばぁさんやで!!」って言われながら過ごす方がずっと気楽な気がした


心打たれた瞬間でした