白の喪服には『二夫に見えず』という意味がありますね。
『二夫に見えず』とは、たとえ夫に先立たれようとも再婚はせずに、生涯の貞節を誓うこと。
私はこの言葉も意味にもすごく感動の気持ちを抱いており、同時に自身も生涯、嫁ぎ先の家の人間であることを誓っています。
その気持ちを込めたのが、結婚して5年目に夫から贈られた平打ち簪。
この簪の家紋は、私の嫁ぎ先の家紋なのです。
私は生涯、嫁ぎ先の家の人間である、という気持ちを貫き通すためにも、家紋入り平打ち簪を作っていただきました。
そして今や、この簪は私の貞節と嫁ぎ先の家への想いを込めています。
ちょっとアナクロニズムな考え方かもしれませんが、私は嫁ぎ先の家の人間になれたことが嬉しかったし、夫への変わらぬ愛も持ち合わせています。
『二夫に見えず』の精神を込めているので、この簪はちょっと特別な作品ともいえますね。
かつて武家の妻女も、自家の家紋入りの平打ち簪を髪に挿していました。
また、芸者も好いた殿方、旦那衆の家紋入り平打ち簪を挿したとのこと。
家紋入り平打ち簪に込められているのは、相手への変わらぬ愛なのでしょう。
私も『二夫に見えず』の精神も大切にしていくので、家紋入り平打ち簪は今後も特別な存在のまま。
簪には大切な想いを込めているものも多いので、皆様ももし、何か信念や貫き通したいことがあるのでしたら、それを込めた簪を持つと良いですよ!