先日、日本言語学会の公開シンポジウムに参加してきて、高学年になるとインター生の国語のテスト結果にバラつきがあるというデータを見てきました。インター生超あるあるです。

私は、娘のインターナショナル・スクール小学校選びをしているときに、インターに通う子供たちの日本語力の低さにびっくりした経験があります。小学校高学年や中学生の子が案内をしてくれるのですが、日本に住んでいるのにも関わらず日本語が変なのです。インターナショナル・スクールに入学してからも、学年相応の国語力がない子が多いなと感じていました。海外の日本語補習校ではそのように感じたことがあまりなかったので、日本のインターの子の日本語力の低さは驚きで、その原因を私なりに分析しました。

まず海外在住の子の場合、
1. 海外の日本語補習校に通う子は駐在員(=サラリーマン)の子が多く、帰国後は日本の学校に通う予定の子がほとんど。そのため親が海外滞在中も日本語が遅れないよう気を使っている。
2. 日本語補習校は、現地校とのダブルスクール(=日常で日本語を使っていないこと)を前提に授業をしてくれている。長期滞在の子は日本語が弱いことを織り込み済みで、授業は週1回だけれど、"国語"というよりも"日本語"として指導をしてくれる。
3. VISAの関係で共働きが少ないので在宅している方の親が、"英語が伸びないのも困るし、日本語を忘れるのも困る"、と子供の両言語の発達に細やかに気を配っている。
4. 日本語補習校には同学年の子が何人かいるので、目指すべきバイリンガル度の目安になる。現地で生まれ育った子が日本語を頑張っているとすごいなと思うし、日本から来たばかりの子が流行語を使っていると覚えたりして互いに切磋玉くできる。

5. 日本の大企業に勤める親は、同僚や先輩にも海外駐在員経験者が多く、子供の日本語教育・バイリンガル教育に関して経験談を見聞きしたり、相談できる相手がいる。

インターナショナルスクールの場合、
1. 国際結婚で将来は海外在住予定とか、両親の言語と英語で三か国語を話すとか、様々な理由で日本語の優先順位が低い子が実は多い。
2. 日本語補習校のような日本語を日常生活で使っていない子のための学習機関がない。インターナショナルスクールに通う日本人の子の日本語力は日本語教室以上 塾未満で、インターの子に配慮したちょうどよい教室が家の近所にない。帰国子女向けの受験塾はあっても、インターに進学する子のための日本語の塾がない。
3. 日本でインターに通う日本人の子の実数はとても少なく、どれぐらいの日本語を目標にして、どうやって指導したらいいか知見が少ない。日本語の先生がいるインターでも役割は日本語教師>>>国語教諭の場合が多い。

4. 日本語が強すぎると日本語に依存してしまって英語力が伸びなくなってしまうので、日本語をやらないことに目をつぶってしまう親が多い。どんどん日本語を注入しても注入しすぎることはない海外生活と異なり、日本語と英語のバランスが難しい。

 

インターナショナルスクールでは小学校1, 2年生まではバイリンガル風だったのに高学年になると日本語の読み書きがガクッと出来なくなる子を沢山みていましたのでどうしてそうなってしまうのか、どうやったらそれを防げるのかというのは娘を育てるときの課題でした。私自身が帰国子女で、語学としての日本語の難しさを分かっていたのが娘を育てるときに役立ちました。

 

高学年で習う漢字は低学年で習った漢字の組み合わせで出来ていて、日常生活で使う漢字の大半を習うと残り数パーセントになっていきます。日本の学校に通う子にとっては漢字学習はだんだん楽になり、漢字学習に費やす時間はだんだん減らしていけます。

 

インターに通う子にとっては全然違います。漢字の形はより複雑になり、熟語も意味がわかりません。高学年の漢字テストは、漢字の形ではなく、熟語として使えるかを問うテストです。日本語の語彙が少ないインターの子が1,2年生の延長で3,4年生以降の漢字の勉強をしていくのは無理なのですがほとんどの親御さんはそのことをわかっていません。 子供の事情に合わせて、日本語(国語ではありません) の勉強の仕方を工夫してあげる必要があります。

全日制のインターナショナルスクール小学校に通う子が増えてきたので、啓蒙までに書いておきました。