新一年生が授業中に座っていられない、先生の話をきけないなどの小1プロブレム対策の一つとして、1コマ45分間の授業を、小学校低学年では15~20分程度の2、3コマに分割するといったカリキュラムの改善が文部科学省によって検討されているそうです。

実際に細切れ授業で成果のあがっている小学校はあるそうです。でも集中力のない子にはいいかもしれないけれど、先生のお話をきちんと聞けて集中力のある子にとってはかえって集中力がなくなってしまうのではないかと心配になりますが、その点はどうなのでしょう?

モンテッソーリスクールでは午前中に最低でも3時間をモンテッソーリのお仕事の時間にあてています。休憩時間はありません。子供たちはこの時間の中で一つまたはいくつかの好きなお仕事します。スナックを食べたり、トイレに行くのも自由ですが、大事なのは3時間のまとまった時間を自分の都合の良いように使えるということです。地図に熱中していたら途中、キリのよいところで水を飲んで、でも午前中一杯地図作りをしていたり、椅子磨きを一生懸命1時間近くやり終えてから片付けてスナックを食べるなど、この3時間という時間のくくりにすることで子供が集中している作業がなるべく中断されないようにしています。昼食の時間にはもちろんみなで一斉に食事をしますが、午前1コマなので時間割のせいで中断されるのは1回ですみます。

別の幼稚園に通っているお子さんに「幼稚園楽しい?」と聞くといつも「あんまり...」とのお返事。先生が次から次へとあれしなさいこれしなさい言うからだそうです。先生に言われて始めるのに、すぐに終わりにして次のことをしなさいと言われるからだというのです。その子はモタモタしている子ではなく、先生がおっしゃったらサッとスイスイ出来る優秀なお子さんです。先生に言われるとおりにハイハイとやっているけれど、内心はつまらないなぁと思っているそうなのです。

授業中に立ち歩かず先生の話をきちんと聞いている子の中にも隠れた小1プロブレムがあると私は思います。小学校生活を楽しみに入学したのに、小1で早々と学ぶことの意欲や楽しさをを失ってしまう子供たちの存在です。小学校受験をしている子供たちは小学校2年生ぐらいまでの学習内容は十分に理解できるように思います。一年生になって張り切って学校に通い始めた子供たちがゴールデンウィーク明けの頃には学校の授業は簡単と言いはじめます。お受験のペーパーでフル回転させていた頭を再び使い始めるのは小学校3年生の2学期ぐらいのようです。毎年、毎年、一年生たちの話を聞きますが、最初は小学校の勉強簡単だよと得意気なのですが、そのうち簡単すぎてつまらないと言うようになり、やがて黙々と宿題をこなすだけになります。先取りは禁止されていることが多いので興味のあることについて発展的な勉強をしようとすることはありません。小4ぐらいまでの子で小学校受験を経験した子に聞くと、小学校に入ってからよりも幼稚園の頃が一番勉強したと言いますよ。勉強する気満々の子供たちが徐々にその意欲を失っていくのを見るのは本当にもったいなく感じます。

専門外のわからない用語が飛び交う会議に終日参加したり、わかりきったことを一日討論するような講習会に参加させられるのは大人でも苦痛です。子供たちもそれは同じです。子供は難しすぎず、簡単すぎず、手ごたえのある問題に取り組むのが好きなのです。「惜しいっ! もうちょっと!」というのが楽しいのです。ほど良いレベルの問題を解いているとき子供に手をかそうとすると「あ~、答えを言わないで、言わないで!」と懇願されます。うっかりポロッと答えを言ってしまったらそれこそ機嫌を損ねてしまいます。"良いタイミング"(←これ重要。早すぎても遅すぎてもダメです。苦笑)で「思い出せないなら調べていいよ」というと自分で調べます。問題集ならなかなか100点が取れず、いつも90点前後を取れるぐらいのものがちょうど良いです。60-70点台だと難しすぎですのでもう少し簡単なところから足固めをする必要があります。モンテッソーリスクールは異年齢なのでひとつのクラスに様々な進度の子供が在籍していますが、先生はそれぞれの子の理解度を把握し、個々に適切なレベルの課題を与えていて混乱はありません。

全員に合う教え方などないのですから、一年生全員を一律に教えることに拘るとあちらを立てればこちらが立たずで小1プロブレムは不滅ではないかと思います。低学年ではクラスを小さくして、先生が生徒ひとりひとりの理解度を把握し、適切に授業を進められればいいのと思います。