先日REALDEAR xみんなのことば 主催の「親子で楽しむ!クラシック」という小さなコンサートへ行ってきました。一軒家のリビングルームで20名弱の親子で弦楽四重奏を楽しむというサロン風な贅沢なコンサートです。
子供向けのクラシックコンサートはいろいろ参加してきましたが、このコンサートは"音楽鑑賞入門編"といった風で小学生低学年にはぴったりなプログラムでした。四重奏を聴いたあとにそれぞれの楽器のパートだけを弾いてくれたり、情景を思いながら鑑賞したり、様々な演奏方法を紹介してくれたりといったことが、子供を退屈させない60分で上手に構成されています。
演私は学生のころ学校のオーケストラに所属していましたのでコンサートで一番楽しいのはお客さんよりも演奏している本人だと思っています。サロンコンサートでは奏者の方とは数メートルしか離れていないので、ホールの演奏会では味わえない臨場感があります。司会の方が子供たちと会話をしながら進行してくれたので、子供たちは自分も演奏しているかのように楽しんでいました。
美術や音楽はエンターテイメントですが、だれしもが楽しめるわけではありません。自分なりに楽しめばいいと言うのは本当ですが、教養や素養といった下地があるとより楽しめるのも事実です。展覧会やコンサートといった文化事業は単体で黒字にするのは難しく、沢山の助成金がついています。それにもかかわらず、来場者はある程度の教育を受けた人、結果としてある程度の所得のある階層、が多いので米国では金持ちの道楽のための助成と非難を浴びることもあります。このため助成金を申請するには子供や貧困層といった社会的弱者へのOut Reach Proramが企画に織り込まれていることが必要です。こうしたプログラムを通じて美術や音楽の楽しみ方を教えるのです。
私の母は子供にも本物をという人で、私が子供のころからオーケストラやバレエなどの年間チケットを購入して毎月連れて行ってくれました。子供をダシに本人が行きたかったのかもしれませんが...。母は戦後の物がない時代に自分の家にあった美術全集やレコードを聴くのが楽しかったそうで、自分の子供には本物をと思ったようです。しかし30年前は子供向けのプログラムなどなかったので残念なことに私には退屈だった思い出しかありません。子供のときからの環境がそうさせたのか、成長して大人になったからかわかりませんが、私が美術館やコンサートに自分から自然に足が向くようになったのは大学を卒業するころからです。
自分の体験から、子供に本物を見せさえすればそこから何か掴み取ってくれるだろうと期待するのは間違っていると思います。何も娯楽がなかった時代と違い子供向けの容易なエンターテイやメントが溢れる今日、子供に興味を持ってもらうには以前にもまして工夫が必要なのかもしれません。人類の偉大な遺産を楽しめないのはもったいないですからね。子供たちにはなるべく文化に触れる機会を持たせています。