目玉焼きがまだご馳走だった時代。子供たちがとても楽しみにしていたのに、ひとつの目玉焼きだけ崩れてしまいます。そこで母親は、きれいに焼けた目玉焼きは兄に、崩れた目玉焼きは妹に出しました。がっかりした妹が泣いて文句を言うと、「女の子はいつも譲れる気持ちが欲しいのよ。お兄ちゃんは男の子でしょ。」と母。それでも妹が泣き止まないと母はその目玉焼きを食べてしまいました。翌日、母は妹の朝食にきれいな目玉焼きを出してくれました。
これはお作法の先生が書かれた、子供時代の回想録です。これを読んで長年の疑問が解けました。
どうやったら外国人のようなgentlemanが育つのかずっと不思議に思っていたのですが、先の回想録を読んで欧米では男の子を譲らせる側として育てているのだということに気が付きました。
私が育ったテキサス州をはじめとする、米国南部の育ちの良い男性はsouthern gentlemanと呼ばれます。いまや絶滅の危機とも言われていますが、私が子供だったころは小学生の男の子でも高学年になれば、大人の男性の真似をして、ドアを開けてくれたり、椅子を引いてくれたり、重たい教科書を持ってくれたり...といったようなことを普通に出来ました。女性をきちんとエスコートできてはじめて一人前なので、小さな男の子でも頑張って背伸びをするのです。 (もっとも北東部では、女性だって一人で自立して出来ることを男性にやってもらう必要はないということでsouthern gentlemanな振る舞いは好まれないこともあるようです。)
日本では一歩譲る女性は美しい、男性が女性のために何かしていたらみっともないという感覚がありますが、欧米ではまったく逆です。一緒にいる女性の負担を代わってあげるのが男らしさとされています。
男の子に譲らせる文化、女の子に譲らせる文化。どちらの文化が良いとか悪いとかはありませんが、日本はもともと強い女性を育てて来た文化なのではないかと思います。日本史を紐解くと武士の妻の方が凛としているし、最近よく言われる肉食女子にしても、日本の女性は強くて優しくて男性に甘いですからね。
また、家庭の躾もありますが、文化の影響も大きいですね。日本人の男子も、お父様はご家庭では典型的な日本のオヂさんでも、米国人と同じように荷物を持ってくれたり、寒いときはジャケットを貸してくれたりといったことを普通に出来るので、家庭の影響だけでなく、その社会の慣習は大きいのでしょうね。
さて、目玉焼き。みなさんはどう分けますか。