謹賀新年 | 脳梗塞と民話語り

脳梗塞と民話語り

よう来なすったなあ~、ゆっくりしてきなっせ~





月・火曜日はブログ定休日だよ、

皆様あけましておめでとうございます。

  今年もどうぞよろしくお願いします。


今年も民話に明け暮れるでしょうから

   民話を乗せたいと思います。

これはブログで知り合った折り鶴さんという方から頂いた創作民話です

栗毛の嫁さん

   昔あったと その昔はな隣村や またその隣村から、
   嫁さまが来たもんだがナ、

   このごろは倅や娘達もナ
   都会だの外国だのと 出ていくことが多くなってナ、
   自然がいっぱいあるこの村だが、
   そう言うわけでナ だんだん寂しくなって来てヨ
   村の悩みの種になってたもんだと。

   そんな ある日のこと
   外国さ勉強に行っていた若者がナ 村さ帰って来たと
   それがな~んと栗毛ナ 目のくりくりっとした、
   可愛い娘さんを連れて来たんだと 

   村の人達は、その娘を一目見るなり、
   「可愛いな~、いや~可愛いな~」すっかり気に入ってナ
   「ぜひ、この村で暮らしてくれねえかな~」って頼むと、
   快く引き受けてくれたと

   まっ!いろいろと心配もあったがナ、
   取り敢えずは 家族と一緒に暮らすことになったと。

   それからというもの二人はナ
   人も羨むような仲の良い 暮らしをしておったと

   また、習慣の違いから、面白いことが時々起こってナ
   たとえば、若者が畑に出かける時なんか
   「ほんじゃ畑に行って来るかんな」そう言って
   いつも嫁さまにチュッてすんだと

   とうちゃんとかあちゃんはナ、それを羨ましそうに見ちゃ~
   「俺らたちもあんなふうに出来たらいかんべなあ」
   「ふんだども、人前では、こっぱ恥ずかしいから
   そんだら事 真似出来ねえ」って 日頃そう言っておったがな、

   そのうちに馬に隠れてやるベイって話がまとまってナ
   「そしだら、おれも畑さ行って来るかんな」って、
   かあちゃんの方にチュッのポーズで 口とんがらかしたと

   かあちゃん こっぱ恥ずかしくて こっぱ恥ずかしくて
   辺りをキョロキョロしている間に、
   とうちゃん 馬にペロッとなめられてしまった
   『う~んとおちゃん可哀想』 

   今度は、かあちゃんが、チュのポーズで
   とうちゃんの方を向いたんだがナ、
   とうちゃん 動き出した馬が気になって 気になってナ
   違う方を向いちまったからナ
   かあちゃんは チュッのポーズで終わってしまったと。

   かあちゃんこっぱ恥ずかしくて こっば恥ずかしくてナ
   茹で蛸みたいに まっかっかな顔で、
   その日は終わったと 「う~~んかあちゃんもザンネン」

   ほんでもナ とうちゃんも、かあちゃんもチューは出来なかったが
   とっても幸せな気分だったと、

   その後、だんだん、チューも旨くなっていったのは、
   俺らが云うまでもなかんべな

   それからのことだと、
   日がたつにつれて、村から離れていた若者が、
   ユーターンとやらで一人、また一人とポチポチ村に戻りはじめてナ
   村祭りや村の行事も若者達の手で行われるようになってナ
   少しずつ村が活気づいて、栄えて来たど。

   「可愛い栗毛の嫁さまが、
      村に幸せを運んでくれたんだんべな~」って
   今では皆、そう言っているそうだ

   「そんな村が、日本のあちこちにあったらよかんべなア」って
   俺ら思ってんだ
    

おしまい