週刊エコノミスト目次:2月11日・18日合併号 | 週刊エコノミスト Online
経済週刊誌とは思えない切り口ですが、目次からも本気度がわかります。
とくに一般の経営者に読んでほしい箇所は、大川原化工機事件の主任弁護人を務めた高田剛弁護士がまとめた、経済事件に備えるべき7ポイント。
ポイント1:監督官庁との密な認識あわせ
ポイント2:弁護士との信頼関係構築
ポイント3:大事な社内コミュニケーション
ポイント5:がさ入れ段階でしっかり防御
ポイント6:取り調べから裁判は弁護団との総力戦
ポイント7:今後のキーワードは、営業秘密と経済安保。
その中でもポイント4:万が一の逮捕では黙秘を!の箇所は、否認事件では特に大事なのでなぜそういう行動すべきかを含めて、記事を抜粋する。ほかのポイントも実際に否認事件を扱った企業弁護士独自の視点が働いているので、ぜひぜひ雑誌自体を購入してほしい。
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身柄拘束中の取り調べで足元をすくわれないための最良の防御は黙秘だ。この事件でも極めて有効だったと思う。
普段のビジネスはコミュニケーションが大事で、経営者であればなおのこと、コミュニケーション能力は高いだろう。黙秘とはコミュニケーションを遮断することで、ビジネスマンには選択肢に入らないかもしれない。
確かに、黙秘をしていると、自分の考えを相手に伝えることはできない。
ビジネスの世界では全くナンセンスな話だが、刑事弁護の世界では一つの確立された選択肢とされている。
捜査当局は事前の捜査を経て、客観的な資料を確保し、理論武装を行った上で、有罪立証のための最後のピースとして、自白を獲りにきている。
取調官は、見立て通りの自白を獲る訓練を何年、何十年も受けてきたプロだ。彼らを舐めてはいけない。かたや、身柄拘束がなされた状態で、資料を参照したりメモを取ったりして整合的な記憶を喚起することもできない、いわば丸腰の状態で立ち向かうことは、どんなに頭脳明晰なビジネスマンであっても無謀である。もはや立っているステージが全く違うと認識してほしい。
突然やってもいないことで逮捕されたら、何も悪いことをしていないとの考えが根底にあり、しっかり話せば分かってくれるはずだと思うのが普通だろう。だが事件を振り返れば、警察は結局「白いものを黒くする」くらいの組織だったということだ。説明すれば分かってくれるはずとの性善説に立った対応でなく、残念ながら過剰なくらいの防御が必要だ。