弁護士保険MIKATAの普通保険約款を眺めてみた | 福岡の弁護士|菅藤浩三のブログ

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 私は弁護士保険MIKATA のセールスマンでは断じてありません。
 仕事上の必要で、ある種のトラブルに備えて今MIKATAの保険に加入するのが保険料との見合で有用か否か判定する必要がでたのですが、同社は利用案内のマンガはUP していても、法律の専門家が正確に適用範囲を検証するための約款をウェブサイトにUPしていません
 このたび(2015/7/1時点)、何とか約款を入手できました。MIKATAの約款自体をUPすることが著作権侵害にはならないと一応は思いますけれども、慎重に対処して約款はUPせずに約款を俯瞰して気づいた感想をUPしておきます。類似の情報はまだネットにUPされていないので、そのようなものでも一般市民にとって有報な情報ではないでしょうか。

○原因事故と保険事故を定義上区分しています。
 保険金支払対象となるのは保険事故、すなわち、責任開始日以降に原因事故に関して弁護士費用を支払うことになった状態を指します。

○年間支払限度額が500万円、通算支払保険金限度額が1000万円と定められています。
 支払った保険金額がどちらか限度額に達したときは、その達したラストの保険支払により保険契約が当然に終了する扱いになっています。

過去3年間の法律相談料の支払実績が6000円を超えると更新時の保険料がUPします

○急迫偶然外来事故を除き、3か月の待機期間が設けられています。原因事故自体が待機期間終了前や責任開始日前に発生していた場合には保険金支払いの対象になりません

○急迫偶然外来事故の場合、旧弁護士報酬規程の着手金が満額支払われるのに対し、離婚などそれ以外の事件については、後述の基準弁護士費用から5万円の免責費用を控除してさらに50%を乗じた金額がMIKATAから保険金として支払われます
 例えば、境界確定訴訟事件を依頼した場合、(基準額45万円―免責5万円)×50%=20万円をMIKATAから支払ってもらえ、残る弁護士費用は契約者の自己負担となります。

○原因事故の中に、保険事故の対象から端から除かれるものが列挙されています(トラブルの相手を特定できない、係争額が5万円程度未満、法的手続に寄らずに行政への対応を求める、債務整理や過払金請求、被保険者の事業活動に伴う法律事件、行政訴訟、株主代表訴訟、憲法訴訟、刑事事件少年事件など)。

○原因事故が責任開始日の前に発生していた場合、3年間は原因事故への不担保期間となります。
 例えば、責任開始日2015/7/1時点で既に先々月に明渡後の敷金支払を巡るトラブルが発生していた場合、2018/6/30までに弁護士費用を支払う契約を弁護士と結んでも、MIKATAからは補填されません。
 他方、責任開始日が2015/7/1で、建物明渡が2015/11/1に履行された場合には、法的紛争に発展する可能性のある問題事象が生じたのは待機期間終了日以降ということで、2015/12/1に弁護士費用を支払う契約を弁護士と結べば、MIKATAから保険金が支払われることになるかと。まさか賃貸借契約自体が責任開始日以降のものでなければならないという解釈はとらないと思うので。

○加入時点で行っている、個人間の金銭消費貸借取引・証券会社が介在しない投資取引は、告知義務の対象とされています。

○それから、離婚については、画一的に責任開始日から3年間が不担保期間とされています。また、相続・親権・後見といった親族間トラブルについては、画一的に責任開始日から1年間が不担保期間です。
 例えば、2015/7/1を責任開始日とする契約をMIKATAと締結した場合、2018/6/30までの間にはたとえ離婚トラブルにより弁護士費用を支払っても、その弁護士費用はMIKATAからは補填されません。

他社の弁護士費用特約と競合する場合、既に他社から保険金を受領している場合、それを差し引いてしか保険金が支払われません
 例えば、重篤な後遺障害を残す交通事故に遭い、弁護士費用が500万円かかったとします。
 A社の弁護士費用特約の枠が300万円、MIKATAの枠が300万円の場合、先にA社から300万円受領してしまうと同時にMIKATAの枠も必ず消失してしまいます。
 他方、MIKATAから先に300万円受領した場合、A社の約款次第ではまだA社に200万円を請求できることがありえます。

○離婚事件の場合、基準弁護士費用は交渉や調停だと35万円(財産分与や慰謝料の加算可能)、訴訟事件だと45万円と固定されています。受任弁護士にとっては扶助よりはるかに査定はよいですが、上述のとおりその額まるまるがMIKATAからもらえるわけではありません。
 そのほか境界訴訟事件の場合、基準弁護士費用は45万円です。

契約者の妻子など契約者本人以外は、被保険者に含まれません
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