男性が被害者となる逆DVの保護体制は極めて不十分 | 福岡の弁護士|菅藤浩三のブログ

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 2008年放送のDVを取り上げたラスト・フレンズ というドラマがあります。関ジャニ∞の錦戸亮が長澤まさみに殴る蹴るの暴力を繰り返しており、それ以降DVという言葉も一般に知られるようになりました。

 DV防止法は2001年に施行されました。正式には[配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律]といいますが、弁護士でもこの正式名称を使うことは稀で、DV防止法と呼んでいます。

 DV防止法はその前文に
ところが、配偶者からの暴力は、犯罪となる行為をも含む重大な人権
>侵害であるにもかかわらず、被害者の救済が必ずしも十分に行われて
>こなかった。
>また、配偶者からの暴力の被害者は、多くの場合女性であり経済的
自立が困難である女性に対して
配偶者が暴力を加えることは、個人の
>尊厳を害し、男女平等の実現の妨げとなっている。
>この(法律を設立し諸施策を講じる)ことは、女性に対する暴力を
根絶しようと努めている国際社会における取組にも沿う・・・
 とあるとおり、被害者が女性で加害者が男性というイメージを濃くもってはいるものの、加害者となる『配偶者』を男性に限定した法律ではありません
 
 実際、毎年内閣府が発表している<男女間における暴力に関する調査報告書>を
見ますと、ここ数年は、アンケート回答者のうち、女性の男性加害者からのDV被害経験が30%程度で推移しているのに対し、男性の女性加害者からのDV被害経験もまた20%弱で推移しているのです。

 ではDV防止法は男性の逆DV被害者に対してどんな保護を用意しているのかといえば、いかにも不十分なのです。

 まず、都道府県に婦人相談所その他の適切な施設において、配偶者暴力相談センターの機能を果たすようにと、DV防止法は義務付けています。
 しかし、例えば、熊本県や宮崎県には女性相談所はあっても器として男性相談所がつくられていません。DV防止法は逆DVを放置しても、男女平等の実現は損なわれないとでも考えているのでしょうか??
 http://www.gender.go.jp/e-vaw/soudankikan/pdf/center.pdf

 福岡市内には福岡県女性相談所のほか、福岡市配偶者暴力相談支援センター が設けられていますが、そういうところを介して、男性の逆DV被害者のために、福祉事務所が動いたとか、裁判所が保護命令を出したとか聞いたことがありません。
 前記内閣府の統計からは男性の逆DV被害件数がゼロ同然だとはとうてい考え難いのですが。

 それからDV防止法は、婦人相談員に被害者の相談に応じ必要な指導をしてよいとか、婦人保護施設において被害者の保護を行ってよいと定めています。男性相談員とか男性保護施設はないんかい?

 
まあ、DV防止法自体がこんな調子なので、男性の逆DV被害者の保護体制がきわめて不十分なのも自明でしょう。
 そのほか、男性の逆DV被害者は「男のくせに」というプライドが邪魔してか、ネットなど匿名の箇所で被害実態を相談してガマンの一手という方がかなり多いのではないでしょうか。

 子どもがいる環境ならば、DV加害者が男性でなく女性であっても、DVを見聞きする子どもへの悪影響は、社会にとっても等しく看過されるべきでないでしょう。
 速やかに国会で審議され、DV防止法が男女問わず被害者にとって厚い保護が実現できるよう、予算措置を伴う措置が講じられることを願っています。

  ただ、警察はDV相談を受けた場合、男女問わず、対応票を作成し、加害者への指導警告を行ったり、事件化に向けた捜査開始の希望を照会しているそうです、男性が駆け込むならソッコー警察ですね
http://news.livedoor.com/article/detail/9161328/

PS:私が実は逆DV被害者だから記事を書いたわけじゃないです、誤解しちゃダメだってば。
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