作家林真理子の講演を聞いてきました | 福岡の弁護士|菅藤浩三のブログ

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 参加している異業種交流団体主催の講演を先週ホテルニューオータニ福岡で2013/11/7聞いてきました。
 作家ですから、先生という敬称をつけるべきなのですが、つれづれエッセイですので敬称略で書き進めます。

 林真理子といえばアラフォーの世代だと、子連れ出勤をめぐるアグネス論争の印象が。あれは20年以上前のワイドショーネタだそうです。
 
 林真理子は大衆小説の担い手として、直木賞・柴田錬三郎賞・吉川栄治文学賞などを授賞する業界人も認める腕をもっているだけでなく、ドラマの原作となった本も何冊も書いてます(胡桃の家・不機嫌な果実・ANEGO・下流の宴など)売れっ子作家です。ソムリエでもありますね。
 
 今はたくさんの文学賞の選考委員に就任しており、ちょうど講談社現代新書【野心のすすめ】が50万部近く売れている最中です。
 女性ファンが多い方のようで、会場にはギッシリ入っていた300人のうち一見して3分の2が女性でした。年齢層はまさしく様々でした。

 私は講演タイトルになぞらえて新書を読んでいきましたが、講演では新書の内容にはほとんど触れませんでした。新書を買って下さいということなんでしょうね(理由は後述のとおり)。
 
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・いまは本が売れない。とにかく売れない。曽野綾子の幻冬舎新書【人間にとって成熟とは何か】(絶賛40万部売上中)を、今年度の首位を争っている。私は7月に金スマにでたが、なんと曽野綾子も11月に金スマに出るらしい。

・本が売れないといえば、ユーミンも突然売れなくなった。実はユーミンと私は同じ年で、空前のバブルをともに経験したこともあって、一蓮托生な存在かなとも思うことがある。

・私にとって興味の湧く人は、自分のことを面白いと自覚せずにユニークなことを言う人。
 例えば、『お見合い結婚は羨ましい。好きあって結婚したわけではないから、姑に息子をかどわかしたと恨まれず、いびられにくい』とかぼそっと喋った友人(女性)が面白かった、その友人は全く面白いことを言った自覚はなかった。

・【下流の宴】を書いたのは、知り合いの大卒の両親の息子にデブのヤンキーあがりの彼女ができたのを見て、「子供がどんな人と結婚するかが、親の子育ての通知表」と感じたことから。
 東京では、人と人の階級が違うと、服装センスから全然違うことを痛感させられる。

・下流の宴は新聞連載だったが、主役の母親と同じ感想を持った読者の投稿がネットで沸騰した。自分の友人からも「なんで、うちの話をネタにするの?」とか何度も言われた。
 みんな本音で主役の母親と同じことを思っているから話題になった。

・下流の宴で主役の妻は医大を受験するが、その際は和田秀樹に昨今の医大受験テクを教えてもらった。国立ならば昔は琉球大だったが、いまは宮崎大が一番短期間で受験しやすい(それでもかつてに比べるとはるかに医大全体が難しくなっているが)とか、いろいろ聞いた。

・渡辺淳一(直木賞や吉川栄治文学賞などもとっている本格大衆作家。失楽園や愛ルケばかりのスケベではない。ちなみに医師免許を持っている)は凄い貪欲な作家で尊敬している。瀬戸内寂聴もちょう元気。

・本が売れないといったが、なぜか医療小説は売れる。山崎豊子に触発された編集者にはっぱをかけられ、四苦八苦しながら【アスクレピオスの愛人】を書いた。
 主人公の女性はWHOメディカルオフィサーの進藤奈邦子 さんをモデルに設定した。白金ソフィア病院の理事長のモデルは福岡の某病院の儲かっている医師。本人はあくどく書きすぎと言っていたが。

・医療小説はまあ勉強が大変。書いた原稿はメディカルアドバイザーに赤ペンでびっしり添削される。単行本で引用しているが、ある医療小説の記述を著者の了解を得て拝借させてもらった部分もある。
 とはいえ、作家にとって小説のディテールを充実させるための勉強は必ずしも苦ではない。
 例えば浅田次郎は高卒で自衛隊に入ってチンピラな生活の後に売れっ子小説家になったのだが、
【蒼穹の昴】の中の科挙の問題は自ら創作したものだそうだ。すごいねえと言ったら、創作にハマっていると、造作もなく問題を思いついたらしい、大したもんだ。

・今日は原稿の締め切りがあるので、とんぼ返りで東京にこれから戻り、機内で連載エッセイ1本・自宅で別のエッセイ1本を書いてオシマイ。
 作家は歌舞伎を見たり旅行に行ったりホテル暮らしをしたり、優雅な生活を送っているようだが、全て作品の糧になるからやっているのであって、いっぱい連載を抱えてネズミ車のような毎日を送っている。
 4年に1作の頻度で書けばかならずミリオンになる村上春樹なんてのは例外。宮部みゆきも東野圭吾もいまはみーんな多作。どれも本が売れないからであって、図書館を充実させて本を売れなくさせようとしてる武雄市長と近々対談(対決?)する予定を組んでいる。

 湧水のごとく話題が尽きぬ人であっという間の1時間でした。あの素敵な感性から紡ぎだされる作品をぜひ読みたい!と思った次第です。
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