執行停止の担保を積まれて控訴審係属中に会社更生(続) | 福岡の弁護士|菅藤浩三のブログ

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 2011/2/24ろぼっと軽ジKとして当時、ブログ記事をあげていました
http://ameblo.jp/fben/entry-10811586117.html
 武富士を巡ってのこの問題に、2013/4/26 最高決が出ました。

 前提部分は前記ブログ記事をぜひ参照してください。この場面で、過払債権者は消費者金融に対して2つの権利を競合する形で持っていますが、不当利得返還請求権≠損害賠償請求権という前提理解が必須ですので。
 

 今回の最高決が言っていること次の1~5の事柄のようです。私なりにくだけて表現してはみたんですが、「でもね」が2回も出てる論理展開、くどさというか、悪文っぽさが際立ちます。

1、だいたいやね、損害賠償請求権者は、他の債権者に先立ち、担保金から優先して弁済を受ける権利を持っているんだ(民事訴訟法405条2項、77)。
 要するに、損害賠償請求権者が供託金の還付請求権を行使して独占的排他的に優先的に供託金から弁済を受ける権利を持っていることは、法律にハッキリ定められてるんだ、わかるよね。

2でもね、だからといって、更生担保権というのは会社更生法2条10号の定義に該当するものだけを指すんであって優先弁済とかすごく似てるんだけど、強制執行停止における損害賠償請求権、更生担保権じゃなくてあくまで更生債権なんだよ


3、でもね、民事訴訟法405条2項、77条をわざわざ作ったのは、強制執行停止を申し立てられてる間に、債務者(=消費者金融)に何か起きたとしても、損害賠償請求権者が強制執行停止で被る損害が確実に回復できるようにしようってわけだからさ、消費者金融が会社更生したからといって、否応なく強制執行を停止させられた損害賠償請求権者の供託金還付請求権が制約されたりしたら、とても気の毒だよね。

4、だからさ、強制執行停止中に消費者金融が会社更生をしても、消費者金融が立てた担保に対してはさ、会社更生法203条2項の『更生会社とともに債務を負担する者に対して有する権利』にあたるってことで、要するに、更生計画に影響されることは無く、なお依然と損害賠償請求権者として供託金の還付請求権を行使できることにするわけさ

5、じゃあ、どうやってその還付請求権を行使するかっていうとさ、損害賠償請求権者はたとえ損害賠償請求権について更生手続内で届出をしていなかった場合でもさ、更生管財人を被告にして、供託金の還付請求権を有することの確認を求める訴えを提起して、その認容判決を還付請求書に添付すれば、供託金の還付が受けられるってわけなのさ

私が疑問に思ったのは、5の箇所、供託金の還付請求権を有することの確認を求める訴えを提起する際、
 そもそも損害賠償請求権を幾ら消費者金融に対して有することの確認も主文で求める必要があるのか(A),
 それとも、損害賠償請求権前提問題に位置づけて、同額の還付請求権を有することのみを主文で確認してもらえば足りるのか(B)
のところです。

 最高決のニュアンスだと、たぶん(B)だとは思うんだけどね。
提訴時には〇×円=〇△円で表記するんでしょうけどさ。
 請求の趣旨の中身
が(A)と(B)で異なってくることはお分かりかと。


(A)武富士は、武富士が法務局に供託した供託金〇×円のうち〇△の還付請求権を債権者Aが有することを確認する。
 武富士は、債権者Aに対して金〇円(損害賠償金相当)を支払う義務があることを確認する。

(B)武富士は、武富士が
法務局に供託した供託金〇×円のうち〇円(損害賠償金相当の還付請求権を債権者Aが有することを確認する。
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