三浦知良選手「やめないよ」読了しました | 福岡の弁護士|菅藤浩三のブログ

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 サッカー界には長谷部誠選手の「心を整える」というミリオンセラーがあるのですが、世代的にはキングカズです。
 この本は日経新聞に5年間連載したコラムをとりまとめたものですが、企業界でいえば80歳を超えてなお現役であるというサッカー界驚異の存在、キングカズの、メンタルの持ちようとフィジカルの調整の秘密垣間見れました。
 キングカズはいい意味でガツガツしている肉食系ともいえます。私の印象に残った箇所を書き連ねてみました。
 サッカー好きのみならず、職人とかプロ意識が何かを一流選手から知ることができる好著ではないでしょうか。()は副題です。
 が特に気に入った記事の副題をカラーフォントにしています。

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・相手チームが優勝カップを掲げる姿を下から見上げて、そこで初めて優勝と準優勝の違いを知る。優勝争いに加わるだけではダメだ、やっぱり勝たなければダメだと思い知る・・・勝った後も過信せず、負けた後も下を向かず、今日は大事な試合だという意識を毎試合もてるかどうか。常に高いモチベーションで戦える選手こそが本当のプロフェッショナルで、それができるクラブが一流なんだ(強くなるための道程)

・W杯選手枠から落選した後、すぐに前向きに考えられるかどうかは人それぞれ・・・逆境から這い上がるのは自分の力だということ。誰も助けてくれない(W杯が全てじゃない)
充実感が疲労感を上回る。プロってそういうものなんだ(ハードな環境がプロ根性を養う)

・遊び心を持って戦いたい。遊び心と言ってももちろんふざけるという意味じゃない。100%真剣にプレーする中で余裕をもって自分のリズムで戦うという意味だ。それがあれば豊富なアイデアも浮かんでくるし、良い間合いでプレーできる。相手に脅威を与えることにもなる(今日は楽しそうだったねと言われたい)

{負け試合で}監督がどうだとか、あの選手がどうだったとか他人のせいにするのが一番よくない。みんなそれぞれ足りなかった部分があるはずだ。まず自分を顧みること・・・常に誰かに責任をなすりつける人と、他人はともかく自分のココがダメだったと考える人の差は歴然と開いていく気がする・・・自分の出来がよかった試合でも必ず反省点はある。その直後は余韻に浸っていても家に帰って時間が経つとあの場面でミスがあったと悔しさが湧いてきたりする。シッカリ反省できる人間が揃っている集団は強くなる(他人のせいにするな

・天気が悪いと客足が伸びないとか、駐車場が少ない会場は観客動員が振るわないという話を聞く。でもそれは全部言い訳。本当に面白い試合なら、どこでやっても満員になる、交通アクセスが悪かろうと雨が降ろうと。W杯ならみんな見に行くでしょ(言い訳をする前に努力を)

{国際試合でのサッカーアジア予選について}見ている人からすると、日本はアジアでは楽に勝って当たり前という認識かもしれない。でも日本が成長している一方で他の国々も成長している・・・以前日本は東南アジアの国々からサッカーを教えてもらう立場だった。タイに勝つのも楽ではなかったし、韓国との通算成績では今でも圧倒的に負け越している。今でこそ日本はアジアのトップクラスだけと、それはここ15年くらいに限った話。サウジアラビアやイランからすれば、以前は日本なんて3-0で確実に勝てる相手だったはず。それが今ではアジアのトップの1つになった。過去に格下だった相手が今も弱い保証なんてどこにもない。なにより日本が一番それを証明している(過去の格下を見くびるな

・サッカーの選手の年齢を考えるとき、ちょうど2倍にすれば会社員の人たちと同じくらいのイメージになる気がする。つまり、10代半ばの選手は、20代から30代でいろんな経験を積んで成長する時期。選手がピークを迎える20代は、40歳を過ぎてあぶらがのる働き盛り。そして会社員にとっての定年が選手なら30歳前後。自分ではまだまだやれると思っても世代交代だと言われてしまう・・・40歳を超えた僕が今も現役を続けられるのは、給料が下がってもまだ大丈夫だったりスポンサーがついてくれたりするおかげだ。すごく恵まれていると思うけれど、過去に積み上げたものの結果でもあるし、それもプロとしての力。技術だけじゃなくプレーを続けるための環境を手に入れられるかどうかも力量のうちなんだ(現役を続けるために必要な環境

・イエスかノーかで判断されるのがプロの世界。叩かれるうちが華だし選手はそれを乗り越えて大きくなるものだ(批判に耐える強い心を)

・普段の生活でも貯金があるのと借金があるのとでは毎日の笑顔が違う。サッカーで負けの借金を増やして他チームに引き離されないようにくらいついていかないとどんどん苦しくなる。借金を返すのは貯金を作る以上に難しいからね(負けないこと、積み重ねていくこと)

・移籍先が見つからずお金なんか関係なしにプレーの場を再び与えてもらう。そんな経験をしている選手は皆ハングリーだ。それが心の支えになっている・・・高い意識をもって毎日何をすればいいかというと、ひたすら同じことを繰り返すだけだ・・・怠けようと思えばいつでも怠けられる。でも意識を高く持っていればまだまだ走れるし、やれると僕自身も思ってるんだ(内容も結果も意識次第)

・自由というのは自分で責任を負うものだから、本当は厳しいものだ。ただ楽をしようと思えばできてしまう。そんな環境が油断や気の緩みを生んでしまう面があるのかもしれない。日本では選手が不祥事を起こすと本人は表に出てこずにクラブの社長が謝ることが多い。でもブラジルやイタリアではクラブが謝ったりしない、選手が起こした事件はあくまで個人の問題。プロ選手は一種の職人なんだから、契約書にサインした時点から自己責任だ。たとえ18才だろうが40才だろうが、クラブは選手をプロとして認めたから契約を結ぶ。そこから先は子どもだからという言い訳が通用しない世界。一度契約を結んだら公私の別はほとんどないと自覚すべきだ(失うものの大きさを意識しよう)

・五輪代表に限らず日本人選手は身体能力で海外勢に劣っても技術では自分たちが上だと思っている。でもそのうまさの概念がずれている気がする。日本ではサーカス的な足技を技術と呼ぶけれどそれは違う。僕から見ると日本人は器用ではあるが、試合で100%活かせる技術という意味ではまだまだ世界に適わない(世界で戦える技術とは)

・W杯予選はとにかく結果が全て。辛口の評論家の人たちは勝っても試合内容に注文を付けるものでそれが仕事。代表チームの選手や監督は批判されるのも仕事のうち、そう思えば何の苦もない。世界中の代表チームがそうした重圧を受けて強くなる・・・負けてもスポーツ紙の1面になるのが超一流の選手。ただ今の日本はその責任を背負う役目を監督が担っている気がする。選手にヒールを引き受けるくらいの気持ちの余裕、ゆとりがあればいいプレーもできる。ゆとりと油断は似ているけれど、その違いは意識が自分に向いているかどうかだ。相手が格下だから大丈夫だとか勝てるだろうと思うといけない。自分はこれだけ準備してきたという確固たる自信、1つのパスを失敗しても最後まで100%を出して走りきるという気持があればいいほうに転がるはずだ・・・つまり相手によって自分の精神面のコントロールが変わってはいけない。チームメートのプレーも関係なく、何があっても同じ気持ちで自分の仕事をやりぬくんだという意識が必要だ(ゆとりと油断は違う)

・(第2回WBCで)韓国との熱戦は両国の心の距離を縮めた気がする。スポーツの前では政治的な争いや思惑はくだらなく思える。誰かが失敗したら誰かが助ける、子供達には最高のお手本だ。勝つことよりもあれだけの人たちが一生懸命に力を合わせて頑張ったことが大事なんだ、そう子供に言った(日の丸を支えるプライド)

・ブラジルではこれで成功するしかないとの思いでサッカーをする。本当の意味で生活をかける。稼いで両親を食わせるという18歳が日本にどれだけいるだろうか。プロとはいってもまだまだ日本はメンタル面で部活動の延長という考えを捨てきれていないと思う。趣味の域を抜けていないというか。趣味でお金をもらえればそれはそれで豊かなんだけど(ブラジルを鏡に考える)

・日本と欧州では文化が違う。移籍のさせ方一つとっても、欧州で選手をタダ扱いすることはまずない。契約時にゼロ提示をして移籍を促すにしろ、表で裏で必ずお金の流れが発生するように考える。何らかの形でビジネスを成り立たせようとする。日本はそこまで移籍市場ができていないからタダで十数人をクビにする。プロがお金のことで遠慮したりチームを去るのを申し訳ないと感じたりするのも世界的に見れば珍しい(トップ選手は日本の誇り)

誰だって叩かれるのは嫌だ。でも批判を受けていたかいないかで、逆境の時に乗り越える強さが変わってくる。選手はミスを指摘されてもうしないと改めて意識する。悔しさを思い知り揉まれた選手は強い・・・選手は結果を出せば何も言われず、出さなければ私生活まで悪いように言われるもの、それも肥やしにするしかない。誰も見てくれなくなったらプロの商売は寂しいよ。サッカー以外で人の興味をひくくらいでいい。サッカーに詳しくない人々にも関心をもたれないとサッカー界も盛り上がらない。経験から言えば、いいことしか言われない時期はまだまだなんです。悪いことも言われて初めて一流に近づく。それを越えてこそ超一流じゃないかな(批判されて強くなる

50m走5秒9です、大学生FWがこんな自己紹介をした。日本人はうわあ速いなあと感心する。隣のブラジル人は怪訝な顔。「5秒9?なんでこんなところに来たんだ、陸上競技でもすればいいじゃないか」俊足とサッカーはブラジル文化では結びつかない・・・オランダの長身の選手は僕にこう嘆いた「ペレは身長170cm、マラドーナはもっと低い。我々の身長で彼らほどの存在になった者がいるか?」メッシもそうだし、サッカー界で点価をとる人間はえてして小さい。スピードや体格は確かに武器、でもそれがすべてじゃない。大事なのはサッカーを覚えることなんだ(身体能力がすべてじゃない


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