利用規約やプライバシーポリシーの複製やアレンジは自由なのか | 福岡の弁護士|菅藤浩三のブログ

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 企業法務かじっている弁護士に向けてありがちな法律相談。
 新たなサービスを展開していく際、他社の似たサービスで使われている利用規約プライバシーポリシーが、ネット上にアップされているのをアレンジして使うことがありますが、それは合法なのでしょうか?

 もし利用規約やプライバシーポリシーの文章に著作権が発生しているときは、著作者人格権の1つである同一性保持権(著作権法20条1項)があるので、もともとの作成者はアレンジして使われること自体を禁止することができるから、利用規約やプライバシーポリシーをアレンジすることも複製することも著作権法に抵触してNGになります。

 しかし、①紙上に表現された契約書案について、それは思想又は感情を創作的に表現した、文芸芸術美術音楽の範囲に属する法律上の著作物(著作権法2条1項1号)該当しないとした裁判例(東京地裁1987/5/14判時1273号76頁)や、②船荷証券の記載について、将来なすべき契約の意思表示に過ぎず何らの思想も表白されておらず、契約条項の取捨選択にいかに研究努力を重ねたにせよ(★この部分こそ弁護士が情報を収集し知恵を絞って文書に結実させる作業でして、起案の場合にはこの作業と成果物に対して私たちは報酬をいただいているのですよ)その苦心は著作権保護の対象ではないとして著作物に該当しないとした裁判例(東京地裁1965/8/3判タ185号216頁)があることから、プライバシーポリシーや利用規約は契約内容を思想や感情と切り離して作り上げたものだから著作物に該当せず一部アレンジしてもまるまる複製利用しても法律上の問題は発生するものではないという考えに私は至ってます

 一応、ジュリ989号106頁の判例評釈の中では、解説者から『断言することはできないが、相当特徴ある表現がなされていない限り著作物性は否定されるだろう』と、特段の事情がありうることは保留されてますが、どこから著作物にあたるのかのラインはハッキリしていないので、一応は上記の考え方でよいのではないでしょうか。
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