#694 【国鉄送電線】 矢板変電所 2023/11 | 関東土木保安協会

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西那須野変電所の次に、矢板変電所に来ました。

変電所外観を多方面から確認しようとまずは南側の住宅街にきましたが、早速動きあるのが手に取るようにわかり、こちらも大きく変化していました。 
道路から続く鉄板養生が空地に施され、重機類や設備の搬入ができるようになっていました。
コンクリート壁も一部解体されています。
確かに正門の方は狭いんですよね。
もう明らかに設備更新じゃないですか。
しかもここまでやったからには、154kVの主変圧器撤去まで進んじゃいますかね。


変電所構内の外観です。
動きがありそうな感じではありますが、ここからではよくわかりません。


154kV級の主変はでかいですね。
他の変電所とは格が違います。
猪苗代系から受電している各変電所の親分、矢板変電所の風格です。


鉄塔も大柄です。
異電圧を左右で束ねる蒲須坂矢板線とJR矢板線です。
恐らくこちらも東電受電で役目を終える筈で、今が生涯最期の雄姿でしょうか。


変電所入口に向かってみますと、こちら側でも大きな動きがありました。
隣接敷地を借用して工事資材置場になっていました。
ショベルカーが複数機置かれ、掘削工事をやるような雰囲気です。
また、「線路下の横断管路新設工事を行っています」の青看板がありました。


なるほど、これは明らかに送電線工事でしょうから、地中を潜らせて線路向かいから特高を入れるんですね。
154kV級受電を継続して、と思ってましたが、66kVの地中引き込みということで、他の変電所に揃えるようです。
てっきり栃那線の下段腕金に66kV2回線を持ってくると思い、至近の鉄塔も見に行ったのですが、動きがなかったのでどうするんだろう?と思ってたところ、合点がいきました。


面白いのが、施工者が交通建設というところです。
東電の送電線路なのですが、線路の直下は施工ノウハウが違うのでしょうか。
よく陸橋などでも、橋だけは高速道路会社や鉄道会社で施工するのを見ますが、ここも同じで、市道の掘削・管路新設とは所掌が違うのがいかにも鉄道工事らしく、面白いなと思います。

下写真左手が矢板変電所です。
見えにくいのですが、線路に保線員が立っているのと、右にショベルカーが見えるのが確認できます。
この区間で地下にケーブル埋設管路を新設しているという状況のようです。


線路の向かい側の市道に大きく開けられた開口部。
ここから矢板変電所に向かい地下を開削していくようです。
黒磯変電所も同様の手法で掘ったのでしょう。


矢板変電所内部はまだ目立った動きがなさそうですが、左の方の旗が見える辺りは新しい受電設備があるように見えなくもないです。
保線員の方が、次にくる列車の時刻を確認しています。
列車もしっかり警笛を鳴らして通過していきます。


変電所敷地内をさらに拡大すると、新設のトラフが確認できました。
変電所の設備更新絡みかと思われます。


振り返って矢板駅方面です。
市道の色が変わっているところが管路埋設の開削箇所ですから、これを追ってみます。


追っていくと、大胆に駅前を通り東電矢板変電所方面に向かっていました。
ちょうど今工事の真っ只中なんですね。
カッターでアスファルトが切られたのみで、開削が済んでいない箇所も多く見られました。


すぐに矢板変電所付近に到着です。
距離にして1㎞強でしょうか。
線路沿いの主要都市では東電の特高インフラ網は比較的容易に引き込めて、いいですね。
街があって、鉄道がてきて、街が発展して、変電所ができる。送電線ができる。
当たり前の都市形成の結果を、ふとしみじみと感じます。


こちらが東電の矢板変電所です。
豪快なカーブを描き管路は構内へ。
この後は東電変電所内での分岐新設になります。


遠目で見る限り、既存の断路器脇に鉄構が新設されており、ここにJR矢板線が増設されるのだと思います。


線路を潜るルートは、線路直下の工事が大変そうですが、結局1㎞程度で変電所にたどり着くのと、猪苗代系は66kV級が来てないので、架空電線路の新設が一定区間必要になってしまうので、コストなど考慮して選定されたのでしょうね。
何案があったのか一択だったのか、経緯を聞けたら面白そうだなと思います。

日もくれるのも早いこの時期、そそくさと南下し次の蒲須坂に向かいます。