#686 【マニアな一基】東電PG吉川線② ~3種の水路跨ぎ鉄塔~ | 関東土木保安協会

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水路跨ぎ鉄塔の吉川線の続きです。
引き続き木売落を北上していきます。
 

木売落を北上すると、吉川線No.49から鉄塔の形が少し変わります。
今までとは15年も前のプレートを付けていて、古い鉄塔のようです。
腕金の中相が長い、見慣れた形になります。

▲吉川線No.49(1971/7,35m)

この区間は木売落悪水路の旧水路となるようですが、今までの区間は両岸がコンクリートブロックで整備されており、整備されていない区間は旧鉄塔が建っているようです。
基礎周辺も、川にそのまま鉄塔が建っているような造りで、新しい鉄塔の方が素人目で丈夫そうに見えますね。

▲基礎周辺も今までの鉄塔とは様子が違う

No.49の北側で、木売落は新水路と分岐しています。
下写真の右奥に向かって流れる太い流路が木売落悪水路の新水路で、右端に写る施設が排水機場です。
前回触れたかんがい排水事業で建設されたところで、この脇に石碑もあります。
写真中央に写るのが吉川線No.49で、旧水路はこっちに流れています。
 
▲木売落悪水路。右奥には排水機場が見える
 
ここを北上すると、次のNo.48が見えてきます。
同様の1971年のプレートを付けた古い鉄塔で、この鉄塔もまた形が少し違います。
木売落の川幅が短くなったため、この区間の鉄塔は基礎の直前でテーパーが変わらない、より一般的な鉄塔に近い外観になっています。

▲吉川線No.48(1971/7,38m)
 
満開の桜に囲まれる吉川線の鉄塔。
その隙間からちらりと基礎部分が見えました。
別の鉄塔でもあった、水平方向の鋼材が増設されています。
 
▲No.48鉄塔下部。一般的な四角鉄塔に近い外観だ

基礎の外側に、コンクリート板が設置されているのが確認できます。
またH鋼が流路に対して垂直方向に設置されています。
これらは元々あったのか、後から増やされたのかわかりませんが、施工が50番台の鉄塔と似ているので、後から増やされたものなのかもしれません。
ノンクライムのようなトゲが設置されていますが、これはこの鋼材を使って川を渡ろうとする人に対するトラップなのでは、と思います。
なかなか見慣れないものは面白いです。

▲No.47基礎部。花魁状のトラップが目立つ

ここら辺でさくら通りともお別れです。
桜並木は消え、水路だけとなったものの、その上には吉川線がまだまだ続いています。

▲水路と鉄塔の組合せはまだまだ続く
 
吉川線No.45です。
また鉄塔の見た目が変わりました。
さっき見た40番台鉄塔と同じで、ベンド点は腕金下の一点の鉄塔ですが、川幅が広くなったため、大股開き気味の鉄塔になっています。
しかも新しいようです。
 
▲吉川線No.45(2013/3,37m)
 
見ると10年ほど前の新しい鉄塔でした。
基礎の部分も、コンクリート基礎で4面を固められていて、とてもガッチリとしていました。
フェンスでも守られていて、その辺もガッチリ感が高いですね。
45、46号が同じ時期と設計で建てられているようでした。
 
▲No.46基礎部
 
以上、吉川線はNo.45~56の12基が水路跨ぎ鉄塔となっていました。
桜並木と水路と鉄塔という、珍しい組合せが楽しめる鉄塔ということで、楽しい散歩となりました。
ここから駅方面に戻りましたが、天気も太陽が出てきて、桜並木がより一層きれいに見えました。

▲ピンクと緑のコントラストが美しい、木売落

戻る最中に気付いたのですが、こちらの木売落に架けられた橋に「歩道橋」と書いてありました。

▲歩道橋という橋を発見

 歩道橋。「ほどうきょう?」と呼んでいたら、ひらがなのプレートに「ほどうはし」とありました。
歩道の橋だからほどうはし。
あるようで無い、珍しい名前の橋で面白いですね。
 
▲ほどうはし、と読むらしい

吉川線も70年代の建設ということで、当時この辺の新設送電線が水路を跨いで設置される例がいくつかあった中で、このルートを選定されたのだと思います。
一帯は昔からの水害多発地域なので、今後もこの木売落悪水路は残り続けるでしょう。


水路と、桜並木と、跨ぎ鉄塔。
吉川市の素敵な名物の1つとして知られてもいいかもしれませんね。