#438 【一塔両断】 NTT宝泉電話交換センタ | 関東土木保安協会

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群馬県太田市の宝泉地区。
この辺りは元々独立した村だったところで、その混み入った街路に、一昔前の昔懐かしさを感じることができます。

その宝泉地区が迫った頃、赤白の鉄塔に立派なアンテナが載っているのが見えました。
どうやらNTTの宝泉交換局のようですね。
ふらりと立ち寄ってみます。


宝泉小学校から覗いたNTT宝泉局です。
周囲は住宅街で近くで局をきれいに写せる場所がありません。

3階建ての局舎とは別に鉄塔が建っているようです。
珍しいですね。
アンテナも、大きいのが載っています。


よくあるパターンが、局舎脇の空地にNTTドコモが基地局として鉄塔を建てるものです。
この場合、鉄塔も四角鉄塔では小型でシンプルな形ですし、鋼管であれば3本のラーメンか1本の柱などになるでしょう。
ここは、それらとは異なる、基地局としてはオーバースペックの大きさにして、規格化された八角形架台を搭載した、所謂平屋のNTT無線中継所仕様です。
萌えますねー。


左が局舎、右が鉄塔搭載の局舎ですが、独立して建てられています。
右側の中程にある鋼管は非常用エンジンの排気口と思われます。


航空写真で可能な限り履歴を追いましたが、70、80年代には全く存在せず、90年代後期になって初めて鉄塔が現れました。
その建設時期、アンテナ類の装備、発電機も独立している辺り、NTTドコモが自社で建設した無線中継所なのでしょう。
この平屋で新しめの無線中継所、茨城の新名崎無線中継所に似ています。


こんなに元気にアンテナを載せている中小局舎の鉄塔を見たのは久々かもしれません。
この凛々しさ、見てくださいよ、これが電波塔の姿です。


太田市南部にして、方角は北西方面でしたので、恐らく対向局はドコモ前橋でしょう。


架台のスリットにはお決まりの勲章として導波管の切り欠きを塞いだ痕が。


おまけ扱いも可哀想ですが、電話局も見てみましょう。
ここは70年代には建設されていたようですが、階段の踊り場を大きく開放的なガラスが映していました。
単なる箱物と見せておいて、こういう「ちょっと凝り」な部分を出しちゃうのが逓信建築直系の電電公社らしくて萌えですね。


ここは営業窓口はなかったようですが、気持ちばかり広報色を出せる掲示板とお決まりの公衆電話はありました。
ポスターの日焼け具合が良くも悪くもNTTらしいですね。

ところで、公衆電話が目を惹きます。
恐ろしく古そうです。


久々の公衆電話銘板撮影です。
MC-4PRA、1988年4月の30年物でした。
DMC-8に置き換えされずによく残ってくれています。
最早この時代のものは骨董品です。


局舎の看板です。
CIは薄くなってますがフォントといい比較的綺麗に残ってます。
何時からか、電話交換局ではなく電話交換センタになったのですね。
何故、センターと伸ばさないのか。


色々見ると細かく気になりますが、民営化後のNTT1社表記にして、社名の記載部分は丁寧にプレートが張られています。
よくあるのは電電公社のCI痕が残ってて、その上に新CIを取り付けているのですが、ここはきっちりしています。


このご時世、貴重なアンテナ搭載のNTT電波塔。
インフラツーリズムのネタにはニッチで浅すぎるものの、十分すぎる通りすがりの存在感でした。