機械翻訳って、どうなんだろう? | Kazuのかんたんドイツ語 【文法・語法・会話】

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ドイツ語は難しい?いえいえ、実は英語よりも簡単です。挨拶・発音・数字から、ドイツ語を簡単に分かりやすく解説します。単語の増やし方、動詞・前置詞の格支配や名詞の性の学び方も解説していきます。マルチリンガルの私が、外国語一般の学習方法についても紹介します。

Quatsch!のコーナーです。



最近、バスの中吊りで、非常に気になっているものがあるんです。


というのが、
「1日乗車券の使い方」について、「英語と思しきもの」で書かれた案内です。


京都の市バスの場合、1日乗車券を使う時は、

1:最初は、乗車券を運転手横にあるカードリーダーに通す
2:2回目以降は、運転手に(日付の打刻された)裏側を見せる


…ということになっています。



その中吊りを見た時に、思いっきり頭を抱えてしまったんです。

そして、おそらくは、「機械翻訳」そのままでやらかしたのだろう、と思うのです。



さて、その中吊りですが、こんな風に書かれています。

First time is inserted into the reader.

Second time later JUST SHOW TO DRIVER the BACK.
(原文ママ)



大事なことなので、もう1度言いますが、「原文ママ」です。

英語として、成り立っていない文です。


こんな恥ずかしい中吊り、ない方がまし…というより、
即刻書き直してほしいレベルです。


もっと言えば、
英語の分かる人間に、何故チェックを通さなかったのか、そちらの方が不思議です。

おそらく、そのチェックしてもらう必要性が理解できていない可能性も十分に考えられますが…





何故、機械翻訳だ、と言い切ったのかというと、

1日乗車券を使うには…
と日本語で書いた文章に、下線を引きました。


そして、
この下線部を主語として読み取って、訳をしているからです。

英語でもドイツ語でも、
下線部については、本来「いつ?」を表す「副詞」の部分です。


しかし、
助詞の「は」を(ほぼ)自動的に「主語」として認定していなければ、
こんなけったいな文が生まれるはずがない
のです。



そういう意味では、
機械翻訳も、日本語に関する限りは、まだまだだ、と言わざるを得ないのです。




「英語」と「スペイン語」で、
機械翻訳させてしゃべらせるプログラムを何かの動画で見た記憶があるのですが…


それを見た時には、一瞬驚きましたが、
でも、冷静にもう一度考えてみると、まだ欧州系言語の間だから、成り立つ話だな、
ということにも気づいたのです。



というのは、
文法形態が、欧州系言語の間であれば、まだ似ているからです。



しかし、
言語というのは根本的に、一対一で対応する「単語」がある訳ではないのです。


例えば、
ドイツ語の「braten」という単語ですが…

これ、日本語だと、
この単語だけでは、「焼く」なのか、「揚げる」なのか、分からないのです。


と言うよりも、
「braten」という単語が示しているのは、
「(鍋で)油を使って火を通す」くらいの意味合いなのです。


かと思えば、「焼く」を逆にドイツ語にしようと思うと、
「braten」もそうですが、「grillen」も訳しうる単語になるのです。



「きつねうどん」の「きつね」を、
「Fox」と訳した…なんて、笑い話もありますが、
これも、一対一で対応する「単語」があると信じていることからくる間違いです。

それは、
「Fried Tofu (英語)」「Gebratenes Tofu(ドイツ語)」といった具合に、
概念を伝えないと訳が分からないのです。




文構造にしてもそうです。

飛行機の中で、「私は臆病者です。」と、フライトアテンダントに、
カミングアウトする日本人が、結構いるようです。

「Fish or Chicken?」と訊かれて、
答えて曰く、「I'm Chicken.」と。(苦笑)


これは、最初に話した、「First time...」の文と同じミスですね。



このブログを読んでいらっしゃる方であれば、大丈夫だとは思うのですが、
機械翻訳を使うのはいいのですが、
現時点では、参考程度になれば、御の字だと思います。



まして、公に出す物については、その言語ができる人に、
絶対にチェックをしてもらわないと、危ないレベルです。

そういうことを、ちゃんと伝える必要があるのではないのか、と思うのです。




これ、外国語を学ぶ人間にとっても通じる部分があるように思います。


「訳す」ということを、日本の外国語の学習では、重視していますが、
それだと、非常に脆いな、と感じることがあるのです。


こういう機械翻訳的に言葉を覚えてしまおう、なんて考える人がいるのです。


でも、それでは、ちゃんと伝わらないのです。



もうちょっと、
「その言語の発想に入っていく」ことを重視して欲しいと思うのです。

例えば、
英英辞典・独独辞典のように、
同じ言語の言い換え表現に触れてみる機会を増やすとか、
そういうトレーニングも必要なのではないか、と思います。




今日は、これにて。


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前回:G7サミットをしているドイツのエルマウって、どこ?
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