4月21日 AM 1:00ごろ 分娩予定の総合病院に到着。
さっき出たばかりの血の塊を持って問診の後内診へ。
エコー画像が映し出された瞬間先生が苦い顔をする。その後話し始めるまでに少しの間があく。
私はといえば特別な腹痛がある訳でもないので、あっけらかんとしていたのだけど、昔から空気を読むのは得意だ。先生が黙る時間が長いほど不安が押し寄せてきた。
…あれ?これどうなってる?
もしかして何か大変な事になってる?
すぐに聞きたいけど先生が話し始めてくれるはずだ、もう少し待ってみよう。
1分くらい経った頃だろうか。
たったの1分だけどわたしにはものすごく長く感じた。
先生 『えーとね…おそらくなんだけどさっきご自宅から持ってきて頂いた塊は胎盤の一部と予想されます。ここ、ここら辺にね、黒く映ってる所があるでしょ、これが剥がれた痕なんですよ。で、所見から言わせていただくとyaaiさんの場合『慢性早剥羊水過少症候群、CAOS』と言われているものと非常に今近い状態かなと思ってます。おそらくね、聞きなれない名称だと思うんだけど、実際調べてもらっても本当に満足に情報が得られないくらい日本でも非常に症例が少ないものなんです。僕も経験はあるんだけれども、本当に数が少ないので一概に助かる助からないの判断を下せない。とりあえず1番多い例であれば、22週までに早産、流産をしてしまうケース。だけど稀に無事満期産を迎えて元気な赤ちゃんを出産された方もいます。22週を越えることができたら、救命する事が出来るのでなんとかお腹の中でせめて後6週留めるように頑張って22週を越えれば早産になっても充分命を救える可能性があります。ただ、22週で産まれてしまった場合で救命できたとしても、かなりの確率で重度な障害が残る事も懸念される未熟児として産まれてきてしまうという問題もでてきます。こちら側の提案としてはすぐに管理入院していただいて日々見ていくというのがベストかなと思いますが、yaaiさんお子さんたくさんいらっしゃるからどうしましょうか。正直、入院していれば何かあった時にすぐに動けるというメリットはあるけれども、正直入院したからと言って特に何か治療がある訳でもないんですよ、この病気は本当に症例が少ないのでまだ治療法も確立されていないんです。そして今見たエコーでは赤ちゃんとても元気に動いているし心音も正常です。だからどうしてもなら今日はいったん帰って自宅安静という手もあるけど、僕は管理入院をお勧めします、どうしましょうか。』
なにを言われているのか事の重大さが分からない。
本当にわからない。かんちゃん元気に動いてるやんか。
でもとりあえず入院するかしないかって言われてる…んよなあ…?
私 『すみませんとりあえず主人に説明してもらっていいですか?そこから相談してみます。』
待合で待ってくれていた主人を呼び、説明が始まろうとした所くらいで頭がクラクラして気分が悪くなってきた。
説明は始まってたけどわたし1人トイレへ行き、用をたす訳でもなく個室でボーッとした。
うーん、これは本当に大変な事になってる?
でも今までこんな事なった事も聞いた事もないしまあ病院って結構大げさやもんなー…とかまたポジティブに考えて逃げる癖が発動する。
少し落ち着いたので診察室へ戻るとちょうど説明も終わった所。
私たち夫婦はしばらく診察室で固まってしまった。
すると、看護師さんが相談に使うための個室の病室を用意してくれた。
看 『ここでしばらく話し合って頂いてゆっくり決めてもらって大丈夫ですよ、ちょっとね、突然難しい事たくさん言われてビックリしますよね。』
私たち 『ありがとうございます。ゆっくり考えます。』
とはいえ本当に言葉が出ない私たち。
主 『どっちにしろ入院はした方がいいんちゃうんか?』
私 『そう〜なんかなあ…。』
つわりの時の里帰りですごく迷惑かけた事が頭をよぎって、安易に入院する!とは言えない私。
その言葉だけ交わすとまた、黙り込む私たち。
すると看護師さんが入ってきた。
看 『yaaiさんあのね、さっき先生がこないだyaaiさんが初診で来てくれた時の採血の結果を見てたんですけど、貧血の数値が非常に低いみたいなんです、それでこれはちょっともう入院して頂いた方がいいみたいなので、入院しましょうか。』
私 『分かりました。』
とりあえず通常ヘモグロビン11くらいないといけない数値が7.6ということでよくないと言われる。
でも私はもともと貧血体質でそんな数値妊娠すれば毎回見ているし、内服の鉄剤が合わない為毎回妊娠するたびに鉄剤注射に1週間通ったりして貧血治療をしていたから、そんな大げさな!と心の中で思っていた。
ただこの結果はあくまで初診時のものであるからもう一度今すぐ採血をする事になり検査結果を待つ。
その間も夫婦の会話はほとんど無し。
主人がずっと検索しながら時折独り言を吐く。
『ほんまに無い調べても分かりやすいやつが…』
そんな私たちを察してか、先生が分かりやすい説明を文字に起こして、少しの症例データと共に持ってきてくださった。
そうこうしてるうちに採血の結果が出る。
先生 『うん、これ今ヘモグロビン6.5まで下がってます。これはね非常に医学的にも危険な数値ですので今すぐ輸血を始めた方がいいと思います。なのでバタバタとほんとに申し訳ないけども、いくつか書類も説明聞いて頂いてサインもお願いしますね。』
あれよあれよと瞬く間に事態が悪化していく。
突き動かされるようにとはよく言った物で、本当にそんな感じでサインしたり説明を聞いたり準備したり。
輸血なんて初めてだし聞いただけで不安でしかない、それでなくてもかんちゃんの事もまだきちんと理解できていないのに。
ただ話し合うために貸してもらった部屋が入院の病室になり、準備の間なんども夫婦2人だけの時間がやってくる。
話さなければいけないはずが、話す事が見当たらない。
励まそうにも落ちこもうにも、事態を理解できていないのだから。
でもしばらくして主人が重い口を開く。
主 『yaaiこれ…もう多分助かれへんのちゃうかな。かんた。今さっき調べたけど100パー未熟児やで助かっても…』
その言葉を遮るように
私 『もう調べんといて‼︎分かったから。もうそんな後ろ向きな事言うのやめよ‼︎なるようになるって‼︎満期産できた人もいたって言ってたやん、絶対それやってかんちゃんは。もうさ、もしあかんかったらその時存分に悲しむんやから今から悲しむのやめよ‼︎それにもしかんちゃんにこんなん聞こえてたら、かわいそうやって絶対!だからお互いに思うことは心にいっぱいあるやろうけど…口に出すのやめよ!』
主 『うん、そうやな!聞こえてるかも知れへんもんな!分かった!』
気づけば時間は3時を越えていて、輸血の準備も着々と進み4時ごろから輸血開始。
心配していた副作用もなく、順調に私の身体に血液製剤が入っていく。
性格変わるんかなーとか何かの病気になったりしないかなーとか、輸血あるあるというかもはや都市伝説の様な不安なんだけれど経験がない故に無知だから、そんな事で不安になって怖かった。
AM4:30 明日も仕事を控えている主人に帰ってもらい、ここから先は私とかんちゃんのチカラの見せ所!頑張ろうねかんちゃん
ママはまだまだ何も理解できてないよ。
