かんちゃんが産まれて昨日で1週間。
と同時に居なくなって1週間でもある訳で。
陣痛の時、私はひとりきりだった。
出産の時、家族は他に誰もいなかった。
連絡しなかっただけだし、間に合わなかっただけだから、その事で悲劇のヒロインになりたいんじゃない。
だけど実際、ひとりだった。
幸せな未来が待っているというよりは、むしろその逆に向かって自ら時計の針を進めるような。
ひとりきりの、体験。
私の35年の人生で初めての経験。
とてつもない不安が押し寄せる。
かんちゃんは助からない。それを充分に理解していても、自分がどうなるのかも分からない不安は本当に本当にどこまでも大きな黒い影のように忍び寄ってくる、薬や点滴でおかしくなったのか本当に恐怖でしかない。
自分が与えられたサイコロに、思ってもない目が出たからだ。
そんなサイコロの2投目を、1投目と同じように振れるだろうか?
6の目までじゃないサイコロが出てもまだ、次は6通りと信じられるだろうか?
かんちゃんの火葬を終えたからと言ってもまだまだ終わらない。
火葬の次の日胎盤の一部が出た時もそう。
思いがけぬ量の血の塊がナプキンいっぱいに出た時、すぐさま内診、そこから器具で掻き出され、その後輸血をされ、分からないままに進まされていく自分の身体。
今回の妊娠での致命傷ともいえる大きな血の塊が出た時から本当に速いスピードで事態が急速に悪化したから、私にとって出血はトラウマなのだ。
『トラウマ』
日常でも良く使う言葉だけど本当のトラウマってきっとこういうもの。
人によって重さは違うとしても、とってもとっても怖い。
2度と、輸血したくない、点滴したくない、入院したくない。
普段なら輸血も入院も点滴も皆が健康になる為に提案される事だし私もしかり。
だけど出産、死産というストレスを知らずのうちに背負っている私にしては、そんな過程さえ本当に恐怖であり不安だった。
退院して2日目だった昨日、またしても大量の血の塊が出た。
途端に落ち込み、鼓動が脈打ち、全身が震える。
顔はほてり出し、熱感で頭もボーっとしてる。
病院に連絡するか迷った。
また!また!入院になったらどうしよう!
もう嫌、ひとりで寝るのはもう耐えられない。
ここへ来て限界を見た。
だけど大事に至らなければ安心できる。
でも、、耐えられない。
あの不安の毎日に戻りたくない。
根性がないのは私。こんな事でビビってしまってるんだから。
だけど、だけど、大事に至らなければ安心できる。
1時間ほど悩んで病院に連絡、受診する事にした。
結果はセーフ。
先生いわく、もともと『子宮腺筋症』『子宮筋腫』を持っているから生理の量もすごく多いので、今回の産後の悪露の量も多いのかなという所見。診察のため下着を取った時も内診台へ上がる時もポタポタポターッと滴り流れる鮮血。
怖くて気を失いそう、血圧も上がる。
こんなに血を流してまた輸血になれば…恐ろしすぎて倒れそう。
先生からセーフの診断を受けた時は大人なのにカッコ悪いけど少し泣けて来たほどだ。
ああ〜またお家で眠れるのか。本当に助かった!
行ってよかった…‼︎
こんな風に少し出血するだけで落ち込み、少し熱が上がっても気持ちが押しつぶされそうになり、トイレお風呂、ひとりの時間が耐えられない。
甘ったれてる場合じゃないのは百も承知している。
こんな自分にだけはなりたくなかったのに。
だけど今、同じ部屋の同じ空間で誰かの『生』を感じているだけで気持ちが落ち着くのが現実。
我が子を宿し、育て、産み、失う。
失ったその先にもまだ続く不安があって恐怖がある事を知った。
かんちゃんが産まれて、そして居なくなって1週間。
コミュニケーション能力は回復してきたと思いきや、そのせいで余計に『身体』『心』『頭』が
別々の場所にある事を知ってしまったような気がした。