ご無沙汰しております、yanagiです。

ブログ更新が遅れていましたが、うちの会社の方でこのブログを知っている方がおり、どうやって今後書こうかと躊躇していて時間が過ぎてしまいました。すみません。

 

本日は、昨日ニュースになったスギHD会長夫妻のコロナ予防接種問題についてです。

 

 

概要

 

以下、会社側の説明及び調べた事実です。カッコ内はyanagi注です。

 

・スギHDは、スギ薬局を運営する会社。

・スギHDは上場会社で、本店が愛知県大府市にある。

・元々の創業は愛知県西尾市で、のちに大府市へ移った。

・会長夫妻は創業者で、会長は代表取締役、妻は相談役(注:取締役ではなさそう)として、会社から報酬をもらっている。

・会長夫妻は、スギ薬局1号店のあった西尾市内の場所に「西尾市民げんきプラザ」(メタボ対策等のトレーニング施設)を建設し、西尾市に無償貸与している。

〇4 月 12 日 当社秘書から、ワクチン接種予約について西尾市役所健康課に問い合わせし、高齢者枠または医療従事者枠での優先接種ができないかの相談を行う。(注:誰を対象としたのか、社長なのか妻なのか夫妻なのかはこれだけでは不明)
〇4月13~14日 西尾市役所健康課より当社秘書あてに高齢者枠について対応不可の連絡をいただく。同じく健康課より医療従事者枠については管轄が県のため対応ができない旨の連絡をいただく。
〇4 月 15 日 高齢者枠および医療従事者枠での対応不可の判断を受け当社秘書が一般枠での接種も対応できないのかを再度相談。一般枠での対応について検討できるかもしれないとの回答を受ける。
〇4 月 16 日 健康福祉部長から、5 月 10 日の接種であれば予約できるので接種券が届いたら連絡を入れるよう電話を受ける。
〇5 月 6 日 当社秘書が接種券を市役所健康課にて受取りました。

 

https://www.sugi-hd.co.jp/important/pdf-cms/7747a6366c8571374de1f8cb03f9ed2ffeed8bae.pdf

 

ニュース記事を見るとこれとは違う内容があるかもしれませんが、上記はあくまで会社が出している情報なので、少なくともこの事実は正しいもの(=これをもとに批判を受けても甘受すべきもの)、として考えてみたいと思います。

 

 

刑法上の強要罪、又はパワハラが疑われる。

 

市の対応等についても問題があるという事は言われていますが、今回は会社側の対応にスポットを当てます。

監査役視点からこのリリースを見て真っ先に思ったのは、強要・パワハラの問題、それからつながるコーポレートガバナンス上の問題です。

 

 

具体的には、

 

会長や妻が予防接種を受けることは、会長や妻個人に関する問題であり、会社とは関係ない問題である。

・一方、リリースに出てくる秘書は会社に雇用されている者であり、会社のために業務を行う必要があるが、それのみで足りる。

・これは換言すると、勤務時間中は会社の業務に専念すべきであり、それ以外の業務(取締役や従業員や関係者の個人の事務含む)をやってはならず、やった場合は就業規則違反になる可能性がある。

・当然ながら市役所の窓口は日中に空いており、市役所側から電話が来るのはスギHDの従業員の勤務時間中である可能性が非常に高い。

 

という推定される事実の下で、

 

会長や妻が従業員秘書に対し、自身の予防接種に関する申込事務をやらせた。 ⇒ 従業員に会社の業務以外をやらせたことになり、パワハラの可能性が高い。

・会社説明のとおり、仮に秘書が勝手にやったことであれば、この秘書は就業規則違反(職務に専念する義務違反)であり、懲戒を受けるべき。

・一般的な推論として、創業者代表取締役からの指示なく就業規則違反になるような上記のようなことをするメリットが秘書にはない。また、一般的に代表取締役からの指示を秘書が断ることは非常に困難である。すなわち、会長夫妻からの指示(パワハラ可能性大)があったと推認される

 

という問題があります。

 

 

つまり、会長や妻の指示があったのであればこれはまさに会社の私物化でありコーポレートガバナンス上問題がありますし、本当に従業員が独断でやったのであれば会長夫妻のプライベートまで踏み込んで仕事をすることを良しとする社風が出来上がっており、やはりコーポレートガバナンス上問題があります。

 

 

会社として、この従業員を職務専念義務違反として就業規則上の懲戒をしないのであれば、自らの指示を認めたことが推定されてクロ。

もし懲戒をした場合、おそらく従業員は会社を訴えるでしょうからそうなってもやはりクロ。

というどうやっても勝てない負け戦になってしまうと思われます。

 

 

上記が真実かどうなのかわかりませんが、いずれにしても監査役等としては無視できない案件であり、少なくとも取締役会において意見を出すとか、会長の適格性を問うとか、第三者調査委員会的な話になりそうな気がしています。

 

 

まとめ

・スギHDの今回の件は、会長夫妻の指示があったとしてもなかったとしてもコーポレートガバナンス上の問題が残る。

・監査役としては、こういう問題は大事と捉えて対応することが求められる。