こんにちは、yanagiです。
今日は会計監査の中でも比較的揉める、関係会社株式の評価減について記事を書いていきたいと思います。


関係会社株式の評価減とは

会社は事業運営を行うに当たって、子会社や関連会社を作って事業をやらせることがあります。
その際、親会社は子会社・関連会社株式(併せて関係会社株式といいます)を取得しますが、この関係会社株式は原則として取得原価で貸借対照表に計上します。

しかし、関係会社の事業運営がうまくいかず財務が痛んで純資産が棄損することがあります。
棄損によって、会社の実質的価値が株式の取得価額の50%を割り込んだ時は評価減が必要になります

これが関係会社株式の評価減です。

単純な例でいうと、100万円で子会社を作って事業運営をやらせたが、純損失を60万円出してしまった場合、その会社の実質価額は100-60=40万円になります。
これは当初の価額の40%であり、50%を割り込んだので評価減が必要になるという理屈です。


関係会社株式を評価減することに関する経営者の姿勢

前提として、関係会社株式の評価減はあくまで親会社単体の財務諸表上の問題です。
これは換言すると、親会社が作成する連結財務諸表には全く影響を与えず、子会社株式をいくら計上したところで企業集団の損益には影響を与えないことになります。(連結範囲から外れいている会社の評価損であれば例外的に損が出ますが。)

つまり、会計監査人や監査役から見ると、連結に影響を与えない(平たく言うと、どうでもよい些末な)事象だから、さっさと評価減して軽くした方が良いのではないかと考えますが、実際は難色を示す経営者が多い印象があります。


推測するに、その理由として大きいものは、評価減を計上するということは経営者自ら、関係会社がやる事業が失敗したと認めることになる、という理屈です。

ただ、実際はそんなことはありません。あくまで会計上の話です。
しかし、特に経営者の肝いりの事業であれば経営者の思い入れが強く、その評価減をする=失敗を認めることにはかなりの抵抗があるのではないかと思います。


また、種まきの期間が長く、種まき自体にも多額の資金が必要になる業種もあります。

これからが収穫できる時なのになんで収穫前に評価減するのだ、と経営者が感じるケースもあります。(ただし、この場合は監査役も会計監査人も事情は考慮する)


とはいえ、会計基準に逸脱することは容認できませんので、会計基準上評価減回避の余地がないのであれば、評価減するように会社に申し入れる必要があります。

少し長くなりましたので、次回はその申し入れ・説得の具体的方法について個人的意見を書きたいと思います。