今日は息子の保育園時代のことについて、触れてみたいと思います。今3~4歳頃の発達障害児を抱えている親御さんは、この先どうなるのだろうと、不安で一杯だと思います。でも、その子達もちゃんと成長するし、大丈夫ですよとお伝えしたくて、この話題を書いてみることにします。
さて、うちの息子は2歳半で保育園に入りました。
当時の息子はひどい睡眠障害で、毎晩10時に寝たかと思うと、夜中の1時には起きてきました。そして、朝までハイテンションで遊び続けるという生活で、僕も妻も疲弊しきっていました。自分たち夫婦だけでは、その状況を抜け出す手立ては見付からず、公的な支援を受けて、保育園に入れることになったのです。
当時、息子は発達成長が1年遅れているといわれていました。
・発語は単語程度で、二語文などまったく無理でした。
・多動で、片時も目が離せない子でした。
・スーパーなどでは、ちょっと目を離すと、どこかに行ってしまい、よく迷子になりました。
・絵本は顔を背けて、両手を突き出して拒否し、決してみようとはしませんでした。
・おとなしく出来るのは、車に乗っているときと、好きな番組のビデオ録画を見ているときだけでした。
・食事をしていると、色々とちょっかいをかけてくるため、僕と妻は、交代で柵のついたシステムキッチンのカウンターの上でしか、落ち着いて食事が出来ませんでした。
・集団行動も出来ず、紙芝居や絵本の読み聞かせが始まっても、すぐに立ち歩きを始めていました。
・保育園でも、すぐに教室を脱走し、他のクラスに行ったり、職員室に乱入していました。
こんな様子でしたので、
当時は、とても集団行動など、考えられない子だったのです。
でも、僕らが住んでいる市の公立保育園は、思った以上に、こうした子達に手厚く関わってくださるノウハウがありました。
うちの子は、集団行動は取れませんでしたが、
非常に人懐っこい子ではあったので、
時々、迎えに行ったときなど、
いつも先生のひざの上に、チョコンとのっていたものです。
子供同士がトラブルになっても、
先生方は、落ち着いたものです。
うちの子の気持ちもしっかり聞きだしてくださり、
また相手のこの気持ちも丁寧に聞き取られます。
そして、2人に「あなたは、こんな気持ちで、そうしてしまったんやね」と
その子たちの気持ちに寄り添った後で、
「でもね、相手はこんな風に思って、イヤやってんで」と、
丁寧に、相互の気持ちを伝えてくださっていたのです。
子ども達は、自分の気持ちもしっかりと酌んでもらえるので、
先生の言葉にもしっかりと耳を傾け、
こうしたことが繰り返されることで、
やがて、相手の気持ちを理解することが、
出来るようになっていったように思います。
うちの子にも、障害特性から、想像性に苦手がありますが、
相手の意図がわからないなりにも、
相手にも気持ちがあり、それを尊重する事の大切さは、
彼自身の心に、しっかりと刻まれているように感じます。
当時うちの子に、診断はおりていませんでしたが、
苦手なことのある子であっても、
また、定型として順調に成長している子であっても、
どちらにも分け隔てなく、
丁寧にこうした関わりがあったように思います。
そんな日々を暮らすうちに、
うちの子は1年後には、
年齢並みの発達成長に追いついたと診断されました。
といっても、発達障害の問題がなくなったわけではないのですが、
すっかり二語文も話す様になり、
いくらか、集団行動にもついていけるようになっていました。
苦手があっても、本人なりに頑張る気持ちが芽生えてきて、
皆よりは少し遅れがちではあっても、
息子は息子なりに、一歩ずつ成長できるように、なっていったのです。
2歳半当時の、うちの家族の状態は、それはひどいものでした。
夫婦共に子育てに疲れ果て、ろくに眠ることも出来ない毎日でした。
あの頃、どんな風に暮らしていたのかさえ、ろくに覚えていないような有様でした。
しかし、ぼくらは、そこから、まさに一歩ずつ、
生活を立て直してきたのだと思います。
ずっと順調に階段を上がれたわけではなく、
一進一退するような時期も、ありました。
子どもの小さな成長に、喜びをかみ締める日々もありました。
障害受容の問題で、夫婦の気持ちが引き裂かれていた時期もありました。
しかし、僕ら家族は、みんなでそんな状態を、
一歩ずつ坂道を登るように、改善してきたのだと思うのです。
そんな苦しい状況を、一石二鳥に変えてしまうような特効薬は、
この障害にはまだありません。
しかし、日々の小さな積み重ねは、
確実に子どもの成長を促し、
困難な特性を抱えていても、
本人の自覚と意欲が前向きに進んでいった時には、
驚くような成長を遂げて、その障害を乗り越えていくのだと、
僕はこの目でみてきましたし、この身で体験してきました。
「いったい、この先どうなるのだろう?」
と不安一杯の親御さんは多いと思います。
しかし、小さなステップを積み重ねた先には、
今、抱えてらっしゃる問題が、少しずつ改善されていくことを、
ぼくはお伝えしたいと思うのです。
どうか悲観しないでいただきたいのです。
ひょっとしたら、今は周囲に誰も理解者が居ないかもしれません。
家族や親戚ですら、敵対しているかもしれません。
でも、それはいつまでも続くものではありません。
必ず、道は開けていくと、ぼくは思うのです。
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