日本ブログ村 人気記事

「発達障害」部門 第4位

クリック、感謝です!



親御さんの側の障害受容については、これまで2回にわたって書いてきましたとおり、中々難しいものがあります。子への愛情があるゆえに、否認してしまうこともありますし、複雑な事情や感情が入り乱れて、親子のあつれきの元になってしまうことも、少なくないようです。そこで、今日は、障害受容に対する頭の整理の仕方について、臨床発達心理士の高橋和子先生の著書から、紐といてみたいと思います。


親が発達障害と言う事実を受け入れられない原因に、親側に複雑な心理があることや、社会的に周知や理解が進んでいないことから、発達障害にマイナスイメージが強いことがあると、述べてまいりました。また、この障害の克服法がまだしっかりと確立されているとはいえないことも、親の不安の元となって、大きく影響していると考えます。


ここで、障害を受認するための心の持ち方について、金沢大学 子どものこころの発達研究センターの特任助教授である高橋和子先生の「高機能自閉症児を育てる (小学館101新書) 」から引用していきますね。


さて、高橋先生は、障害名と言うものは「子どもを理解する為に役立てるためのもの」とおっしゃっています。特に目に見えない障害である発達障害に対しては、大事な姿勢だと、僕も思います。


障害名があろうがなかろうが、

実際の子どもは存在していて

その特徴は変わらないわけです。

つまり子どもの特徴を

よく理解することが大切なわけです」


子どもの行動やものの認知の仕方は、

 親が悪いのではないこと。

 わが子がとても変なことをすると思っていても、

 子どもにもそういうふうにせざるを

 得ない事情がわかってきます。」

・・・と著書に記されています。


ぼくは、この「親が悪いのではない」と判ることも大切だと考えます。

自責をすることは悪いことでは有りませんが、

本来、正していくべきことを自責するならまだしも、

「この子がこんな風なのは、世間で言われるように、

 私の子育てに問題があるのだろうか・・・!?」

・・・と悩み続けても、解決策は見えてきません。


そこは、前向きに解決策を見つけていくための、

内省であったり、反省でありたいと考えます。



また、発達障害と言うのは、

特定の対象に高い能力を発揮することがあります。

しかし、得てして、社会適応のための学習能力や

行動に問題を抱えやすいのだそうです。


本当にお子さんのことを思うのであれば、

子どもの問題をはっきりと理解・認識し、

その子が乗り越えていくべき課題をしっかりと見据える

・・・・・こうしたことが大切なように考えます。


その為にも、障害受容というのは、

最初にくぐらなければいけない関門なのだと考えるのです。




高橋先生はこのことを非常に上手く説明してくださっています。

自閉症スペクトラムと言うのは

「社会の中で、人がどのように考えているのかを、

場面や状況に関連付けて判断したり、

どのような対処をするのが良いのかを考えることに

混乱を生じる障害」であると。


また、「社会の中で成長しながら

生きて行く力を身につけにくい障害」であると。


そうであるだけに、

「発達障害の子に特技があるからと、

例えば、芸術面や勉強面だけを伸ばしても

その子たちは、社会適応や安定就労にはつながり難い

・・ということだおっしゃるのです。


実際僕は、有名国立大学を卒業したものの、

その後の就職でつまづいた当事者さんを、何人か知っています。

この方々が口をそろえておっしゃるのは、

高校・大学の時期に、社会常識や対人関係ルールを学んだり

また、上手く質問をしたり、疑問を解消したり、

仕事をおぼえ、身につけるところでの訓練などをしたかったと。


また、その社会常識や対人関係ルールは、

言語化して教えてほしいといいます。

まねをして覚えなさい・・・などといったことは難しいのですね。


「あの頃にこうした経験を積んでいれば、

きっとちがった人生になっただろう」と、おっしゃるのです。



育児パパのあったか・やさしい発達障害談義

これらのことを考えても、発達障害の方に必要な課題と言うのは、

定型発達の成長とは違っていることが判ると思います。

同じ手法で、学業やクラブ活動をやっていても、

そこから自然に学んでいくことは難しいのだと考えます。

30~40年前の、社会からのあたたかいコミュニケーションが、

自然と向けてもらえる時代ならまだしも、

個人主義が蔓延し、競争社会を生き抜くだけに懸命な定型社会で、

こうした能力なしに、発達障害の方が、安定就労するのは、

難しい時代になっているのです。


そこを考えても、「子どもの特徴をよく理解する為」に、

そして、「彼らの社会適応の為に、

何を伸ばす必要があるのか」を的確につかむためにも、

障害受容と言う、最初の関門を、

出来るだけ早くくぐることが、大切だと考えます。


育児パパのあったか・やさしい発達障害談義

僕自身も自らを振り返って、やはりそう思います。

うちの子の診断と僕の障害受容は、6歳半の頃でしたが、

実は2歳半の頃にも病院の門をたたいているのです。

しかし、その時彼は「発達障害ではない」と誤診されてしまいました。

その時、正しく診断され、僕ら夫婦に正しい情報が与えられていたら・・・。

きっと、息子はもっと早くに、その困難に配慮されることで、

もっと良い環境で暮らすことが出来たのではないか、と思うのです。

失われた4年間は取り戻せないと判っていても、

その期間を惜しむ気持ちはやはりあるのです。


中々、障害を受容が出来にくかった親御さんも、

一歩を踏み出す勇気を持っていただけたらと思います。

この障害は、早くから発見され、

早くから配慮されることが、一番の薬となる障害だからです。

子どもさんが二次障害を抱えることなく、育っていけるように、

その一歩を踏み出していただきたいと、考えるのです。



みなさんのクリックが大変励みになります!

ぜひ、ポチっとご協力をお願いします。

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 発達障害へ   にほんブログ村 子育てブログ 自閉症児育児へ


【告知です!】

発達障害支援:大阪家族限定グループワークのご案内



育児パパのあったか・やさしい発達障害談義

2010.12.10(金)、2011.01.14(金) 10:00~14:00ブログでご紹介した本です

大阪市中央区の貸し会議室にて開催!

少人数(10人)制 要予約


同じ境遇を持つもの同士で、悩みや問題を語りあい、

ともに共感し会うお時間はいかがでしょうか。

日常を離れ、ゆったりと過ごすお時間は貴重です!

詳しくはリンクをクリックしてくださいね。



【ご紹介】

今から20年ほど前のことなので、現在のように、

特別支援教育も制度化されていなければ、

高機能広汎性発達障害の概念も、まだあまり知られていない頃から、

自ら学び、お子さんと向き合って、

常に創意工夫を凝らし、お子さんの気持ちに寄り沿って、

子育てをしてこられた様子が良くわかる本です。


そして、発達障害支援や研究のプロとしても、

活躍なさっている先生でもある高橋先生の著書を

是非お勧めします。


↓↓↓↓↓
高機能自閉症児を育てる (小学館101新書)  byamazon