代謝ノート③ 解糖系の側路 | はにわの管理栄養士国試対策

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管理栄養士国家試験対策の記事を投稿しています。

過去問題の解答解説ではなく、
分野別の解説をします。
講義の内容をブログで流し読みできるといったイメージです。

片手間に見てみてください。

前回の復習【解糖系-クエン酸回路】

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前回は代謝ノートの上部を説明しましたね。

グルコース→グルコース-6-リン酸→ピルビン酸までの流れを解糖系といいました。「糖を分解する」と書きますね。
ピルビン酸がミトコンドリア内に入る際には、ピルビン酸脱水素酵素補酵素のビタミンB₁酸素が必要でした。ミトコンドリアでは好気的条件下でしか反応は進まないので酸素は必須になります。
(わかりやすいように表現を変えています)
ミトコンドリア内ではピルビン酸がアセチルCoAとなり、オキサロ酢酸と一緒にクエン酸回路を回ります。
クエン酸回路では、NADHFADH₂を生成していました。
ここまでが前回の復習ですね。詳細の解説は下記で確認してください!!
絶対に順番通りに読み進めるべきだと思います。つなげて学びましょう。

 

 

 

 

解糖系の側路 ペントースリン酸回路

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解糖系の部分のイラストを見てください。

解糖系の側路の1つ、ペントースリン酸回路とは、グルコース-6-リン酸から寄り道をしていきます。

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①NADPH②リボース5リン酸

リボース5リン酸は、核酸の材料と記載してありますが、DNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)のことです。これらは五炭糖リン酸塩基によってできています。その五炭糖の部分がリボース5リン酸と思ってもらえれば大丈夫です。NADPHについては、脂肪酸合成ステロイドホルモンの合成だけでなく、体内での還元剤としても重要な働きをしているということを押さえておきましょう!

つまり、ペントースリン酸回路はエネルギー産生に関与せず、それぞれ脂質代謝や核酸合成(尿酸代謝)の経路につながっていくということになります。

 

コリ回路 (側路ではないけど・・)

代謝ノートの個々の部分(グルコース-グルコース-6-リン酸-ピルビン酸-乳酸)について解説していきたいと思います。本編とは少しずれますが・・・

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下のイラストは、代謝ノートのコリ回路の部分を詳細に示したものになります。
筋肉と肝臓との間で起こりますが、運動を例に出してみたいと思います。
運動を続けていると、酸素がどんどん消費されていきます。酸素が糖質代謝に回せなくなってしまうと、ピルビン酸はミトコンドリア内に入ません。
代謝ノートのピルビン酸の右隣の嫌気的条件というのがこういう状態です。
ピルビン酸は嫌気的条件だと乳酸になります。
筋肉では乳酸がたまってしまいますが、それを下のイラストのように代謝をして乳酸が過剰にならないようにしています。

コリ回路とは、下のイラスト全体のことを言います。
筋肉で生成された乳酸は血中を介して肝臓に行き、グルコースとなります。
乳酸から新たに糖(グルコース)を作る過程を【糖新生】といいます。
筋肉でできた乳酸は筋肉で処理してほしいと思いませんか?なぜわざわざ肝臓に押し付けるのでしょうか?

グルコース-6-ホスファターゼ

この酵素は糖新生の律速酵素といい、筋肉にはなく肝臓にある酵素になります。律速酵素→糖新生の反応で一番反応に時間や労力がかかる部分に使われている酵素。
つまり・・乳酸から糖新生はグルコース-6-ホスファターゼのある肝臓でしか行えないということですね。

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次のイラストにはコリ回路の文章での説明があります。
電子伝達系で行われている酸化的リン酸化でのATP合成は全部で34ATPが作られますが、回答系、コリ回路でのATP生成は速度が速く、瞬発系での運動での代謝に利用されます。

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代謝ノート➂ 確認事項

□嫌気的条件下、またはVt.B₁が不足している状態では、アセチルCoAはミトコンドリアに入れずに疲労物質の乳酸へと変化する。
□乳酸は常に蓄積されているわけではなく、血中に放出され肝臓へ移動しピルビン酸を経てグルコースに変換されている。→コリ回路
□肝臓にはグルコース-6-ホスファターゼという酵素(糖新生の律速酵素)によりグルコースに変換できる。
□乳酸は主に筋肉運動の初期や酸素の供給が不十分な激しい運動によって生成される。
□乳酸は過剰に血中に蓄積すると乳酸アシドーシスを呈する。
□解糖系の側路としてペントースリン酸回路がある。
□ペントースリン酸回路では脂肪酸合成のためのNADPH、核酸合成のためのリボース-5-リン酸の生成を行っている。

代謝ノート➂ 管理栄養士国家試験

下記は既出の管理栄養士国家試験問題の一部になります。
こちらの記事の分野が出題されている問題は下記になります。
管理栄養士国家試験 第33回71問目の場合・・・(33-71)と記載。

ペントースリン酸回路は、ゴルジ体に存在する。(28-27)×
ペントースリン酸回路は、NADHを生成する。(31-23)×
ペントースリン酸回路は、リボース-5リン酸を生成する。(34-70)〇
ペントースリン酸回路は、解糖系の側路である(H28模試)〇
ペントースリン酸回路は、尿素回路の側路である(H28模試)(26-26)×
ペントースリン酸回路は、クエン酸回路の側路である(H29模試)
ペント―スリン酸回路により、ATPが合成される。(R2模試)×
ペントースリン酸回路は、脂質合成のためのNADPHを供給する。(27-81)○
ペントースリン酸回路ではNADが生成される(H29医歯薬模試)×
グルコースは、ペントースリン酸回路で代謝されATPを生じる。(25-26)×
グルコースがペントースリン酸回路によって代謝される際に、NADPHが生成する。(20-27)×
乳酸脱水素酵素は、乳酸からオキサロ酢酸を生成する。(25-26)×
ビタミンB1は、ピルビン酸脱水素酵素の補酵素である。(25-26)○
アセチルCoAは、ピルビン酸と反応してクエン酸回路に入る(H29模試)×
クエン酸回路は、嫌気的条件下で反応が進む(H28模試)×

 

【解説】
ペントースリン酸回路は解糖系の側路であり、NADPHとリボース-5-リン酸の生成を行っています。嫌気的条件では、ピルビン酸は乳酸脱水素酵素により乳酸になります。説明は省いていましたが、イラストには記載済みです。
そのほかは記事を見て復習してみてください!びっくりマーク

ご愛読ありがとうございました。
次回は糖質代謝(追加補足)についてになります。
ぜひ継続して勉強を進めていきましょうびっくりマーク

今回の記事でのご不明な点、指摘事項等がありましたらこちらの質問箱までお寄せください!また、解説が欲しい分野についてもご要望をお待ちしております!!

 

 

 

 

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