こんにちは。
漢方薬剤師のみゆきです。
前回の漢方勉強会の忘備録の続きです。
フレイルとは、年を重ねて
だんだんと体や心のはたらきが弱くなってきた状態。
フレイルと漢方は相性がよいです。
そして、フレイルの漢方と言って真っ先に思い浮かぶのが
人参養栄湯(にんじんようえいとう)。
勉強会でもフレイル全般に使えると紹介されていました。
低栄養状態、呼吸機能の低下、不眠、サルコペニア、胃腸機能た免疫機能の低下
といった不調がある場合にとくに効果的とのことです。
反対に、気滞や腎虚、脾虚が甚だしい場合や痛みが強い場合は合わないことも…。
確かに、人参養栄湯は気や血を補い、からだをあたためる漢方です。
咳などの呼吸器の不調によいのが特徴的というイメージがあります。
人参養栄湯とよく似た漢方薬の十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)や補中益気湯(ほちゅうえっきとう)。
十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)は、強い低栄養状態、血流を促進したいときによい。
補中益気湯は、他の漢方で胃もたれする場合や免疫系、胃腸系、運動機能低下している場合によい。
フレイルではこんな風に使い分けるとよいという解説がありました。
なるほど、確かに十全大補湯や人参養栄湯は地黄が入っていることもあり、胃腸にくる方もいらっしゃいます。
冷えやむくみが強い方には八味地黄丸(はちみじおうがん)。
腎虚の漢方です。
むくみがひどく、サルコペニアも気になる方には、
八味地黄丸に牛膝と車前子を加えた牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)もよい。
さらに、腰痛や関節痛、背中の痛みが強い場合は、独活寄生丸(どくかつきせいがん)という選択肢もある。
腎虚+血虚+風湿、解表(痛み)の漢方。
あまり聞かない漢方薬だなーと思っていたら、医療用のエキス剤にはないそうです。
市販はされています。
心のフレイルには帰脾湯(きひとう)や香蘇散(こうそさん)。
帰脾湯は、心血虚+気虚の漢方。
身も心も疲れ果てている、不安感が強い場合によい。
六君子湯+香蘇散=香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)
胃腸のはたらきが低下して気分が沈みがちな人によい。
香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)も医療用のエキス剤にはありません。
煎じ薬でこの処方をずっと服用している患者さんがいらっしゃいます。
「とても自分に合っている」といつもニコニコしておられます。
フレイルと一言でいっても不調として出るのはいろいろ。
本当に人それぞれです。
そして、一人ひとりの症状や体質、体や心の状態に合わせて選べる漢方薬も本当にいろいろあります。
実際に、勤務先の薬局でそれぞれの漢方薬を服用している患者さんの顔を思い出したりしていました。
みなさん、本当にお元気です。
処方箋の年齢をみて驚くことがよくあります(^-^;
漢方薬の可能性と奥深さを改めて感じた勉強会でした。
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