つれづれ日記  進化を体験する? | 漢方堂だより

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地球の生命は単細胞生物から進化を続け、最後に哺乳類に至り人間は進化の頂点にいると考えられている。一説では人間は受精して成長してゆく過程で魚類や爬虫類の形態をとり、生物の進化の過程を体験するといわれている。


つまり、人間の無意識の領域には人類共通の記憶だけでなく、進化の途上にある生物の記憶が受け継がれているというわけである。もちろんそれは今のところ仮説でしかないが、まったくの荒唐無稽な話ではないと思う。(ヘッケルの系統反復説)


私はいまのところ半信半疑だが・・


実は以前、私は進化の体験をしたことがある。もちろん本当に進化を体験したわけではなく、進化の体験セミナーというのに参加したのである。それは進化というより哺乳類右矢印爬虫類右矢印両生類右矢印魚類とイメージを使って退行してゆくものだった。


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イメージで進化の過程を逆行してゆくと、最後には生命の起源にたどり着く。それは万物を産み出す超越的世界に繋がっており、セミナー参加者は超越的な世界を体験できるというわけである。 


この進化体験セミナーの主催者は、知る人ぞ知る精神世界の論客、吉福伸逸さんだった。セラピストで翻訳家の吉福さんは、トランスパーソナル心理学を日本に紹介したことでも有名である。


吉福さんはケン・ウイルバーやラムダスなど、精神世界の著名人の作品を翻訳している。


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  吉福伸逸 氏                        

                         

セミナーの会場はかなり広い畳敷きの部屋で、参加者は30名ぐらいだったろうか。主催者の吉福さんの他に、3人ぐらい指導員がいたと思う。参加者の多くは以前に吉福さんのセミナーに出たことがあるようで、みんな慣れた感じだった。


私は初めての参加だったので要領がわからなかったが、予定の時間通りにセミナーが始まった。最初に吉福さんからセミナーの趣旨と内容の簡単な説明があった。そのあと、いよいよ実習体験が始まった。一種の集団催眠のようだったが、吉福さんの誘導でまず哺乳類まで退行する。


よくわからないまま目をつぶって寝ていると、周りで走り回る音や「ウー」という唸り声や、「ワンワン」とか「ギャー」とか動物のような叫び声があちこちから聞こえてきた。目を開けて周りを見回すと、参加者はみんな動物になりきって四足で走り回ったり、にらみあったり、柱にしがみついたりしていた。


犬になった人からは激しく吠えたてられ、猿になった人には今にも飛びかかられそうなった。私自身は、まだ羞恥心が残っていて、とても動物になりきれずとまどっているだけだった。それまでいろんなセミナーに出ていたが、正直いって少し怖くなった。ガーン


しばらくすると吉福さんの声で、「今度は爬虫類になります」という号令があった。

半ばやけくそで蛇のように畳の上で体をくねくねさせていたが、まだ恥ずかしさがあって蛇やとかげにはなりきれなかった。(それでも、だんだん楽しくなってきた)

  
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そのあと蛙や魚になってまた畳の上ではねてていたのだが、趣旨がよく理解できないうちにセミナーが終わってしまった。


その後質疑応答の時間があったので、吉福さんに質問してみた。


「こうしたセミナーに参加して精神世界の探求を続けてゆくと、かえって社会に適応できなくなるんじゃないですか?」


吉福さんはそれに答えて、


「まあ、そういうことになるだろうね。精神世界に深くかかわれば、そうなるのは仕方がないと思うよ」


私はてっきり吉福さんは「精神世界の探求やセミナーに参加することで、より豊かで充実した生き方ができる」と答えると思っていたので意外だった。吉福さんは社会に適応することにまったく価値を置いていないらしかった。


真理を求めることに比べれば、社会的な安定や成功は大した問題ではないということなのだろうか? さすがアメリカでジャズ・ミュージシャンをやっていただけある。


その後、吉福さんはハワイに移住し、ときどき畑を耕したりもするが、あとはサーフィン三昧で遊んで暮らしてるという噂である。(どうもトランスパーソナル協会の内紛やセミナー運営をめぐる対立に嫌気がさしたらしい)


人目を気にせず、自分のやりたくないことは一切しないで遊んで暮らすのは相当の覚悟と能力が必要なので、やっぱり吉福さんはただ者ではないと思う。


注意 セミナーに参加した感想は、「いろんな人がいて面白かったが、内容に関しては訳がわからんかった!」ということである。