創業90周年記念「慶翔展」
〜後記〜
会期を終えて早一週間が経ちました。
今までにないほど、本当に多くのお客様にご来場いただく事が叶った記念展、改めて深く感謝を申し上げます。
きもの美濃幸の節目の時に御心を寄せて下さり、誠にありがとうございました。
お一人様ごと、家族総出でお出迎えをし、精いっぱいおもてなしをし、笑顔でお見送りをしたいという気持ちだけは忘れないようにと3日間を過ごしておりましたが、その気持ちに至るには、ひとりのお客様とのご縁と別れがありました。
そのお客様との出逢いは15年前、私がきもの美濃幸に戻ってきた時の記念展、今回と同じ名の「慶翔展」でした。
とても柔らかな空気感をお持ちのご婦人で、今でも「はじめまして!」とご挨拶をさせていただいた時の感覚を覚えています。
その方から「貴方が戻ってきてくれたから、きもの美濃幸の百周年は見えましたね」とお言葉をいただき、その時は全く実感も持たず会話の中に沈んだ言葉でしたが、月日を重ねていく度にその重みを知り、そこへ向けての道のりを日々考える様になりました。
コロナ禍を経て、お客様との距離感を離れ、年賀状くらいのご挨拶のみに控えていましたが、今回の周年記念に先立ち真っ先にご挨拶をしなければと自宅に向かうと、2年前にお亡くなりになられていたとご主人様から聞かされました。
着物屋のご縁は細く長い事が多く、最近は祖父の頃のお客様が数十年振りにお越しになられるようになり、この方とのご縁もその様に続いていくものとばかり勝手に思っていましたが、人の齢を計り知ることは出来ません。
後悔の念と共に、「百周年で見えましたね」という言葉の意味を本心から知らされた気持ちになりました。
☆お客様とご縁が繋がること。
☆お客様に「ありがとうございました!」とご挨拶が出来ること。
これは決して当たり前の事ではありません。わかっていたつもりでしたが、この様なかたちで心底知らされるとは夢にも思いませんでした。
今回ご来場下さいました皆さまに限らず、ひとりひとりのお客様とのご縁やご愛顧があってこその創業90周年記念です。
その大切さと重みを知る、私にとって必然として迎える事となった慶翔展でした。
3日間、お客様と笑顔と笑い声で相対させていただき、そして悲しいお別れも経験させていただき、一層、百周年を迎える事への決意と決心が決まりました。
まだまだ未熟なきもの美濃幸ではございますが、これからもお一人様ごとに真正面から向き合うきもの専門店を目指してまいります。
何卒よろしくお願い申し上げます。
最後に、
この木目込み人形は、同じく15年前にご挨拶をさせていただいたお客様から、今回の90周年記念のためにいただいたお品。
その方が作られたもので「若(私)のお祝いにと持ってきたよ!」と頂戴しました。
笑顔で「おかげさまで90周年を迎える事出来ました。 ありがとうございます!」とご挨拶出来た事に、心から感謝をいたします。
きもの美濃幸
