小学校卒業式での装い「母親編」

小学校卒業式での装い「母親編」

過日、息子が6年間お世話になった小学校を卒業しました。　商売柄、家族全員和装での出席となりましたので、一人一人の装いをご紹介したいと思います。

息子の紹介に続いて、もう一人の主役の奥さま。

「何を着たら良いか決めといて〜」と言われて、それほど手持ちのない卒業式に向くコーディネートとして選んだものは、結納の際に私の母(大女将)が妻のために初めて見立てた波紋を染め上げた総柄訪問着と、洛風林さんの袋帯にしました。

訪問着は妻がよく似合い、また「桜咲く」卒業式にもってこいな桜色に細かな波紋を糸目で染め上げたもの。　

前身頃と衿、袖には絵羽付けとして金駒刺繍が施されており、母親として一歩控えつつも式典に向く豪華さと品格を兼ね備えた一着です。帯も大女将が見立てた洛風林さんの一本。　

飛ぶ鳥が織り上げられたもので、こちらも門出に相応しい織り柄であることと、洋装がほとんどの現代の卒業式においても馴染みやすい洋のエッセンスを感じる織り色となっています。

卒業式はあくまでも子どもたちが主役。　

親はどこまでも引き立て役であるという認識ですが、それでも共に過ごした確かな6年間は家族にとってかけがえのないものであり、その気持ちを晴れやかな着物姿で迎えることは、子どもにとっても親にとっても大切な事だと考えています。

厳かな気持ちを表す装いと、自分らしさを表す装い。

フォーマルきものの楽しさはそこにあると思います。

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