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今月はあまり、
新入荷のご紹介していませんでしたが、
ラストスパートにて何点かご紹介します!
今日は、
先日の産地を巡る旅にて伺った、
手織り紬の小熊素子さんの一反です。
東京で製織活動をされている、
小熊素子さん。
工房の様子は、
以前のブログをご覧ください。
元々、郡上紬に源流をもつ小熊さん。
郡上紬で、
重要無形文化財(人間国宝)を保持されていた、
故 宗廣力三氏に師事し、
草木染と手織り紬の基礎を学ばれたそうです。
こちらの一反は、
その源流である郡上紬とは違う無地紬。
郡上紬というと、
縞柄や格子柄が多く、
そもそもが岐阜の山間部の郡上八幡で、
戦後、貧困が極まった農村の副業として、
絹織物を始めたという経緯があり、
どちらかと言えば、
そうした民藝的な側面を持った色柄に、
郡上紬の良さがあると思います。
小熊さんが手掛ける織物は、
そうした郡上紬の要素を取り入れつつ、
現代の趣向、女性らしさが織り込まれた、
今からの時代を紡いでいく紬織物。
無地だからこその美しさが在ります。
と言いつつも、
小熊さんが手掛ける無地紬は、
織の表情が際立ったものが多いです。
この一反も、
光の当たり方、見る方向によって、
複雑な織りの世界が広がって見えます。
これには理由があり、
まずは草木染めで糸を染めているので、
染あがり自体に表情があることと、
それに加えて、
そうした表情ある染糸を、
緯糸に複数本使い織り上げるので、
自然と織りに表情が生まれるという訳です。
微妙に違う緯糸。
あとは小熊さんの感性に任せて、
緯糸が織りあげる「やたら織」という事で、
この一段一段の織段が、
一反となると得も言われぬ表情として、
仕上がるという事です。
草木染に使用した植物は「薔薇」。
小熊さんの工房の庭に咲いていた、
野趣あふれる薔薇たちが原料です。
グレイッシュでもあり、
また、ベージュな色目もあり。
薔薇の様な気品とチャーミングさを、
持ち合わせた織り上がりになっています。
無地にして無地にあらず。
ここのこそ、
手織り紬の味わい、
草木染の良さがある事を教えてくれる、
素晴らしい織り上がりの一反。
ぜひ、お好みに合わせて、
コーディネートをお楽しみ下さい。
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