葛布の光沢感。~大井川葛布 産地勉強会にて~ | 愛知県名古屋市の着物屋 きもの美濃幸 3代目若だんなの徒然日記

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前回、「葛布とは。 」の続きです。



私が感じる、葛布の最大の特徴は、

生地の軽さと共にある「光沢感」だと思います。



絹とは違う、

また、他の古代布にはない自然な光沢感は、


天然の繊維から、

どうして出てくるのか不思議でした。



今回のブログでは、そのあたりを中心に、

葛布の作り方」を書いていきます。




葛布の原料である「」といえば、


その根を乾燥させて作る、

「葛粉」と同じと思っていたのですが、


同じ葛でも自生する場所が違う、

性質が違う葛だそうです。



葛粉」に使う葛は、

木に巻き付き、縦に伸びるもの。


葛布」につかう葛は、

土手に生え、横に伸びるもの。


です。



葛布にするには繊維が柔らかい事が必須で、

そのためには重力に逆らわず、

地面に伸びていくものが向いており、


その事もあり栽培をする事も難しいので、

季節になると工房総出で川の土手に行き、

葛を刈り取るそうです。



その時期は、梅雨明けの7~8月頃。


それを聞くだけ、ご苦労が身にしみます。



その刈り取った葛とまとめ、

お湯で煮だし、そのものを発酵させるために、

ススキの「」に入れます。



煮たてて、発酵させることにより、

硬い表皮が溶ける様になり、

光沢感のある糸を作るには必要な工程。



今回は、使い終わった室を見る事が出来ました。





この室の中で2~3日発酵させ、

その後、綺麗な川に行き、表皮を洗いとります。



そして、丁寧に中の芯を取り、

乾燥させたものが、下の写真の「葛苧」。






写真でも少しは伝わるはず、

柔らかな光沢感が、そこに在ります。



大井川葛布の代表、村井さんからお聞きすると、


光沢感溢れる葛布を作るには、

この発酵~洗いの工程が大切だそうで、


ただ、川の水質悪化により、

綺麗な葛苧を作る事が困難になっているそうです。



水道水で洗うと光沢感は失せ、

全く物にならず、


とはいえ、汚れた水の川では、

同じく光沢感が出ない。



今では、

まだ綺麗な上流まで発酵したものを持って行き、

そこで水洗の作業をしているそうです。



自然環境の悪化が、

古き善きものを駆逐してしまう事は、

往々にしてあることかも知れませんが、


今回の大井川葛布の様に、

自分により身近なところで起きている事を知ると、

身につまされるものがあり、


今の自分たちの生活そのものを、

改めて考えるきっかけにもなります。



大きな苦労なく、より良いものが作れる環境が、

各地に出来る様な日本になればと、切に願います。



こうした工程を経て出来た葛苧を裂き糸状にして、

その糸を繋ぎ、八の字に巻いたものが「葛つぐり」。



それを色々な染料で染めたりして、

緯糸に使います。



工房で拝見出来たものは、丁子で染めたもの。






大井川葛布は本来、

経糸は木綿(和綿)の糸だったとの事。



村井さんの所では再現するために、

工房の庭先で和綿の栽培もされており、

年に数反分の木綿糸を採っていました。



 



今では経に絹糸を使う事も多いそうですが、


村井さんご本人は、

代々受け継がれてきた「葛布の伝統」を、

出来る限り護り伝える事に使命を感じておられ、


そうした真摯な物つくりに賭けるご姿勢が、

心を打つ「大井川葛布」の製品になっていると、


今回の工房見学で感じる事が出来ました。



次は最終回。



大井川葛布の現場を拝見した感想を、

自分なりにまとめてみたいと思います。



 

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