女性のための官能小説  

「イルベント エレローゼ 愛するということ -KOKO-」

公開連載第28回












黒髪のアマン28(生きた媚薬8)


 
KOKOの体を

何度貪っても、
青年の怒りは

治まらなかった。



「……あの男…、

 気に入らない! 
 僕を君の

 アクセサリーよばわりして、
 みんなの前で

 恥をかかせた! 
 ……みんなに

 なんて言われたのか

 ……ああ!」
 


KOKOは黙って、
じっと

黒髪の青年を

眺めたあと、
ふっと視線を

そらして言った。



「あなたはみんなと

 一緒に過ごしなさい。
 ここにいる必要はないわ」
 


まるで、

もう興味が

なくなったみいに。
 


皿の上で、
ただ冷えていった、
あのジビエのように。



「KOKO、すまない……、
 気を損ねてしまった?」



「みんなと同じようにしたいと
 思っているのであれば、
 あなたは
 彼らと同じような人生しか
 生きられない」



「……違うんだ、KOKO。
 僕はただ…!」
 


うろたえる青年に、
KOKOは言った。
 

優しく、

言い聞かせるように。



「孤独は

 悪いことじゃないのよ。
 わたくしの知る限り、

 とてつもない
 成功者はみな孤独で…

 異端だわ。


 だから、

 彼らは同じ異端である

 わたくしの前でだけ、
 安らぎを得ることができるの」



「……KOKO、

 何を言っているんだ? 
 僕には

 わからないことだらけだ」



「そのようね。
 でも、

 無理をする必要はないわ。
 あなたはあなたですもの。

 
 ……みんなのところへ、

 お戻りなさい」



「……そんな…、

 KOKO!」



「あなたと過ごした時間は
 素敵だったわ。
 それで、十分」
 

それが、

KOKOと過ごした

最後の夜だった。




(続く)













(再)